ライフシフトとは|マルチステージの人生を先に生きてきた私の実感

2026.08.25
人生の時間割を自分でつくるイメージ
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ライフシフトとは、リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットが著書『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社、2016年)で提唱した、人生100年時代の人生戦略です。

核心は1つ。

「教育 → 仕事 → 引退」という3ステージの人生は終わり、複数のステージを行き来するマルチステージの人生に変わる──という予測です。

正直に言うと、私はこの本を「予測」として読めませんでした。

プロボクサー、フリーター、ネット起業、コンサルティング、そして複数の事業を並行する現在。振り返れば、本が出る前から結果的にマルチステージを生きてきたからです。

この記事では、書籍の要点(マルチステージ・3つの無形資産)を予備知識ゼロでも分かるように整理したうえで、その人生を実際に歩いてきた人間としての実感と、「いまからでは遅いのか」という問いへの答えをお伝えします。

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私の職歴は、履歴書のフォーマットに収まらない

まず、この記事を「書評」ではなく「実感」として書ける理由から話させてください。

履歴書という書式は、よくできています。学歴の欄、職歴の欄、そして暗黙のゴールとしての定年。

あれは「教育 → 仕事 → 引退」という3ステージ人生を、紙1枚に落とし込んだフォーマットです。

私の人生は、あの欄にうまく収まりません。

20代からプロボクサーとして生き、30代半ばで引退。就職はどうしてもする気になれず、フリーターとして働きながら次の道を探しました。そこでネットビジネスと出会い、キーボードもろくに打てない状態から独学で事業を起こし、のちに個人ビジネスのコンサルティングへ。いまはリスティングアフィリエイトを軸に、複数の仕事を並行して生きています。

当時の世間の目線では、これは「レールから外れた人」の経歴でした。面接で説明に困る、空白と脱線だらけの職歴。

私自身、どこかでそう思っていた時期があります。

ところが『LIFE SHIFT』は、こういう生き方をこう呼びました。これからの標準、と。

脱線だと思っていた道が、実は次の時代の本線だった──この本を読んだときの、あの妙な感覚は忘れられません。

ライフシフトとは──「配られた時間割」が終わるという話

書籍の要点を、3つに絞って整理します。

要点①:人生は、想像よりずっと長くなる

まず前提となる寿命の話です。

ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子どもの半数が、107歳より長く生きると推計されています。この数字は日本政府の「人生100年時代構想会議」でも採用され、グラットン氏自身が有識者議員として参加しました。

参考:厚生労働省「人生100年時代」に向けて/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000207430.html

「100年時代」は、キャッチコピーではなく統計的な見通しなんです。しかも若い世代ほど、この前提で人生を設計することになります。

要点②:3ステージの人生は、計算が合わなくなる

これまでの人生モデルは、20歳過ぎまで教育を受け、65歳まで働き、あとは引退という3ステージでした。国が組んでくれた、いわば配られた時間割です。全員が同じ時間割で生きるから、迷わなくて済む。

ところが寿命が100年に延びると、この時間割は計算が合わなくなります。書籍の指摘はシンプルで、約40年の労働で20年の老後は賄えても、35年の老後を賄うのは難しい。年金と貯蓄だけで逃げ切るモデルが、構造的に成立しなくなるのです。

要点③:だから人生は「マルチステージ」になる

そこで書籍が示すのが、マルチステージの人生です。

教育 → 仕事 → 引退を一方通行で進むのではなく、学び直し、転身、独立、複数の活動の並行を、人生のどの時期にでも組み込む。

時間割を配られるのではなく、自分で組む生き方です。

書籍には、新しく出現するステージとして3つの型が登場します。

【マルチステージ時代の3つの新ステージ】

  1. エクスプローラー──立ち止まって世界と自分を探索し、針路を見きわめる時期
  2. インディペンデント・プロデューサー──組織に属さず、自分で小さな事業を起こす時期
  3. ポートフォリオ・ワーカー──種類の異なる仕事や活動を、同時並行で営む時期

参考:リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』東洋経済新報社/https://str.toyokeizai.net/books/9784492533871/

私の場合、引退後にフリーターをしながら道を探した数年がエクスプローラー、ネットビジネスでの独立がインディペンデント・プロデューサー、そして複数の事業を並行する現在がポートフォリオ・ワーカーに当たります。

順番どおりに進んだわけでも、計画的だったわけでもありません。ただ、必要に迫られて移った結果が、この3つでした。

なお、副業を複業(ポートフォリオ・ワーカー的な働き方)へ育てていく実務の道筋は、別の記事で詳しく書いています。

3つの無形資産──長い人生で、お金より先に尽きるもの

書籍のもう1つの柱が「無形資産」です。

長い人生では、お金(有形資産)と同じかそれ以上に、目に見えない資産が重要になるという主張で、次の3つに分類されます。

【『LIFE SHIFT』が示す3つの無形資産】

  1. 生産性資産──仕事に役立つスキル・知識・評判・仕事仲間
  2. 活力資産──健康、そして家族や友人との良好な関係
  3. 変身資産──自分をよく知り、多様な人とつながり、新しい経験に開かれていること。つまり「変わる力」

私はかねてから「お金は、知識・経験・情報という無形資産に変換すべきだ」と考え、実践してきました。この持論は、書籍の分類でいえば主に生産性資産と変身資産への投資に当たります。

この考え方の全体を、こちらでまとめています。

そのうえで、実際にステージを何度も移ってきた実感として言うと、3つのうち本丸は変身資産です。

スキルは移った先でも学び直せます。しかし「変わることへの抵抗の小ささ」だけは、ステージを移る前に持っていないと、そもそも一歩が出ません。

私がプロボクサー引退後に生き延びられたのは、才能でも人脈でもなく、変わることを選択肢から外さなかったから。それだけだったと思っています。

ひとつ公平のために添えると、書籍は活力資産──健康と家族──を軽く見ていません。私はここで手痛い失敗をした人間なので、長い人生の土台がお金でもスキルでもなく、健康と家族だという指摘には、返す言葉がありません。

私の持論──3ステージの崩壊は、悲報ではなく解放である

さて、ここからが私が一番書きたかった話です。

「3ステージが成り立たない」「70代まで働く時代」と聞くと、多くの人は暗い気持ちになります。逃げ切りモデルの崩壊は、たしかに不安な話に聞こえる。

でも私は、逆だと考えています。

あの時間割は、崩壊する前から割に合っていなかったのです。

数字を見てください。厚生労働省の推計では、日本人男性の健康寿命(日常生活に制限のない期間)は72.57歳です。65歳で定年を迎えるとすると、健康なまま自由に動ける期間は、平均で8年足らずしかありません。

参考:厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」(2024年12月公表)/https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001363069.pdf

40年以上働いて、自由を最後にまとめて受け取る。その受取額が、体の動く8年ぶん。

書籍が「老後=人生のおまけという考えを捨てよう」と言うより前に、この設計は報酬の支払い方としておかしかった──私はそう思うのです。

マルチステージの本質は、「長く働かされる時代」ではありません。

自由の受け取り方を、人生の最後の一括払いから、都度の分割払いに変えられる時代です。

学び直しの1年、旅の半年、働き方を組み替える数年。自由を70代まで冷凍保存せず、若いうちから小分けに受け取っていい。

ちなみに、ここで扱ったのは人生の「時間軸」の設計ですが、仕事・家族・健康・学び・遊びという「領域」の配分設計は、また別の話です。この横の配分については、人生のポートフォリオという考え方で整理しました。

「私でもまだ間に合いますか?」への答え

コンサルティングをしていた頃から現在まで、私のもとに繰り返し届く質問があります。

「私でもまだ間に合いますか?」
「もう50代後半ですが、成功できるでしょうか?」

ライフシフトの文脈で言えば、答えは明快です。人生が100年あるなら、50歳はまだ半分。

あなたの人生で、いまがいちばん若い

これは励ましではなく、算数です。

3ステージの時間割では、40代・50代からの転身は「手遅れの脱線」でした。マルチステージの時間割では、同じ行動が「標準的なステージ移行」になります。

行動の中身は同じでも、時代の側が意味を書き換えたのです。

この転身を、セカンドキャリアという言葉の側から掘り下げた記事もあります。50代からの話ではなく、年齢ではなく回数で考えるという視点で、辞めずに始める助走の作り方までまとめました。

焦って会社を辞める必要はありません。エクスプローラーは若者専用のステージではなく、働きながら小さく始められます。

読み、学び、試す。小さな探索で変身資産を貯めながら、次のステージの目星をつける。

その際、これから労働市場の職種が大きく入れ替わっていく方向感は、探索の地図として押さえておく価値があります。どの仕事が消え、どんな仕事が生まれるのかを、こちらで整理しました。

まとめ|時間割は、配られるものから組むものへ

ライフシフトとは──要点の整理

  1. 前提──2007年生まれの半数が107歳超と推計される長寿時代。「教育 → 仕事 → 引退」の3ステージは計算が合わなくなる。
  2. 転換──人生はマルチステージへ。エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカーという新ステージを行き来する。
  3. 資産──お金と並んで、生産性資産・活力資産・変身資産という無形資産が鍵。実感として本丸は「変わる力」=変身資産。
  4. 解釈──3ステージの崩壊は悲報ではなく、自由を最後の一括払いから分割払いに変えられる解放である。

時間割を配られる人生は、迷わずに済むかわりに、自由の受け取りが人生の最後に回されていました。時間割を自分で組む人生は、迷うかわりに、受け取る時期を自分で決められます。

私は後者を選んで生きてきました。就職という時間割を受け取らなかった人間が、どうやって自分の時間割を組み上げてきたのか──その顛末は、著書(Amazon kindle ランキング 5冠を達成した電子書籍)『あ、常識とかいいんで、とりあえず自由ください。』に綴っています。「今からでも全く遅くはない」と題した項を、当時の実感のまま書きました。下記より無料でお読みいただけます。

リライフ特集

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Studio Rough Style(SRS)代表。 当サイト管理人&編集長。 1976年生まれ、熊本県出身、東京都在住。 元プロボクサーで、選手引退後に、派遣・アルバイトなど30社以上の現場を渡り歩くフリーター生活を経験後、セカンドキャリとしてネット起業の世界へ。 詳細は下記にて。 [clink url="https://studio-rough-style.net/self-introduction/"]

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