5年後の自分を「3パターン」描いてみる──スタンフォード式オデッセイプランの実装ガイド

2026.05.02
3つのプラン
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「5年後、あなたはどんな人生を生きていたいですか」──こう聞かれて、すぐに具体的なイメージが浮かぶ人は多くありません。それどころか、「決められないからこそ、考えるのを先送りしてしまう」状態に置かれている人のほうが、はるかに多いはずです。

未来を1つに絞ろうとすると、人は止まります。「これが正解か分からない」「他の道を捨てるのが怖い」──こうした感覚は、性格の問題ではなく、「人生は1つの正解に絞り込まなければならない」という前提そのものから生まれる、構造的な不安です。

スタンフォード大学d.schoolの「Designing Your Life」が提案するのは、この前提を一度ひっくり返す発想です。「5年後の自分を、あえて3パターン描いてみる」──このワークは「オデッセイプラン(Odyssey Plan)」と呼ばれ、ライフデザインの中核に置かれています。

この記事では、オデッセイプランの全体像と、3つのプランがそれぞれどういう役割を担うのか、ひと言タイトル・3つの問い・ダッシュボード評価という実装パーツの使い方、そして多くの人がやりがちな「3つのうち1つを本命、残り2つを予備として描く」という発想がなぜ機能しないのかまでを整理します。読み終えるころには、5年後の自分を1パターンに絞らずに描く方法が、手の届くところに見えてくるはずです。

目次

オデッセイプランとは──「未来を3パターン描く」スタンフォード式ワーク

オデッセイプランは、ビル・バーネットとデイヴ・エヴァンスがスタンフォード大学d.schoolで開発したライフデザイン講座「Designing Your Life」の中核となるワークの1つです。書籍 Designing Your Life(邦訳『LIFE DESIGN──スタンフォード式 最高の人生設計』、早川書房、千葉敏生訳、2017年)でも、最も多くのページが割かれている重要パートのひとつにあたります。

参考:Designing Your Life 公式サイト「The Magic of Odyssey Planning: Prototyping Three Futures」/https://designingyour.life/insights/the-magic-of-odysseys-prototyping-your-future-with-designing-your-life/

「3つの未来を同時に持つ」という発想

オデッセイプランの核心はシンプルです。5年後の自分について、まったく異なる3パターンの人生シナリオを同時に描く。これだけです。

1つに絞らないのには、明確な理由があります。人は「これしかない」と思った瞬間に、視野が劇的に狭くなるからです。逆に「3つあっていい」と知った瞬間に、いま選ばなかった道への執着がほどけ、それぞれの可能性をフラットに見られるようになる。バーネットとエヴァンスはこの心理的効果を、ライフデザイン全体の出発点に据えています。

ライフデザイン全体のなかでの位置づけ

オデッセイプランは単独で機能するワークではなく、ライフデザインの大きな流れのなかで使われる「シナリオ生成装置」です。

具体的には、5つのデザイナー・マインドセット、重力問題の見極め、ワークビュー&ライフビューによる「人生のコンパス」作りといった準備工程を経たうえで、いよいよ「では、コンパスのもとで5年後の人生をどう試作するか?」という問いに踏み込むためのワーク──それがオデッセイプランです。ライフデザインの全体像については、別の記事で整理しています。

5年後を描く「3つのプラン」──それぞれの役割は別物

オデッセイプランで描く3つのプランは、世間ではしばしば「Plan A、Plan B、Plan C」と呼ばれます。しかしこの呼び方自体が、「BはAの予備」という誤解を生む元凶でもあります。本記事ではこのあと、3つが優劣のない並列であることを示すため、あえて「Plan 1・Plan 2・Plan 3」と数字で表記します。3つのプランはそれぞれ別の役割を持ち、別の問いに答えるために存在するからです。

Plan 1|現在の延長線──「いまの道」を最高に伸ばした未来

1つ目のプランは、「いま自分が歩んでいる道を、5年間そのまま延長したらどうなるか」を描きます。すでに頭の中にある、あるいは半ば走り始めているプランをそのまま素直に書き出すパートです。

ここで大切なのは、悲観的にも楽観的にもならず、「いまのままを、いまの自分が考えうる最良の形で延長する」と決めて書くことです。「どうせ続けても意味がない」と切り捨てるのではなく、いまの仕事・暮らし・人間関係を真剣に5年延長したとき、何が積み上がり、自分はどんな人物になっているかをフラットに描きます。

Plan 1 の役割は、「いまの道の輪郭を可視化する」こと。多くの人は、自分が歩んでいるはずの道の5年後の姿を、実は一度も具体的に書き出したことがありません。書き出してみて初めて、「思っていたより悪くないな」とも感じられるし、「これを5年続けるのは、自分には耐えがたいかもしれない」とも気づける。どちらも、書かなければ手に入らない情報です。

Plan 2|代替シナリオ──「いまの道が突然消えたら」何を選ぶか

2つ目のプランは、「いまの仕事・キャリア・暮らしが、何らかの理由で完全に閉ざされたらどうするか」を描きます。所属している業界そのものが消えた、いまのスキルが社会から必要とされなくなった──そんな仮定のもとで、次に選ぶ道を真剣に書き出します。

ここでよくある誤解が、「Plan 2=保険」という捉え方です。しかしバーネットとエヴァンスが Plan 2 に込めた狙いは、保険を準備することではありません。「いまの道が無条件に最善だ、という思い込みを一度はずす」こと。それが Plan 2 の本質です。

たとえば「いまの会社で出世する道」しか頭になかった人が、「もしこの会社が明日なくなったら、自分は何で食っていくのか?」と真面目に書き出してみる。そうすると、自分が「会社員としての自分」と「ひとりの職業人としての自分」を混同していたことに気づいたり、いつの間にか狭くなっていた選択肢の地図が、再び広がりを取り戻したりします。

Plan 3|制約なしのプラン──「お金と世間体が無関係」なら何をやるか

3つ目のプランは、「お金、社会的評価、スキル、家族の理解、年齢──こうした制約がすべて取り払われたら、自分は何をやって生きていきたいか」を描きます。「現実的にはありえない」と切り捨てたくなる衝動を一度横に置いて、純粋に「やりたい」だけを基準に5年を描き出すパートです。

多くの人が、この Plan 3 を書くときに最初は手が止まります。「制約なしで、と言われても、何がやりたいのか分からない」。これは決して恥ずかしいことではなく、それだけ私たちが「制約のなかで考える癖」を強く身につけてきた、という事実を可視化してくれるサインでもあります。

Plan 3 の役割は、「自分の価値観の核と、まだ言葉にできていない衝動を浮かび上がらせる」こと。Plan 3 に書いた要素のうち、たとえ全部は実現できなくても、そのうちの2割か3割を、いまの Plan 1 のなかに少しずつ織り込んでいく──それだけで、5年後の自分の解像度はまったく変わってきます。

3つのプランは「並列」──優劣もランキングもない

ここまで読んでお気づきの通り、Plan 1〜3 は並列の関係にあり、どれが本命でどれが控え、という構造ではありません

言い換えれば、3つのプランはすべて「あなたが本気で5年を生きるとしたら、こう生きる」という仮想プロトタイプです。バーネットとエヴァンスは、3つのプランを描き終えたときの感覚を

自分のなかに、3人の自分が住むようになる

と表現しています。3人がそれぞれの未来を語りかけてくることで、初めて「自分はどの未来に最も心を動かされるか」が見えてくる──。これがオデッセイプランの本質です。

「Plan B=保険」という最大の誤解

オデッセイプランで最も誤解されているのが、「Plan 2 は、Plan 1 のバックアップである」という捉え方です。これは表面的にはもっともらしく聞こえますが、ライフデザインの設計思想とは正反対の考え方です。

バックアップとして書いた Plan 2 は、ほぼ機能しない

Plan 2 を「もしものときのため」と捉えてしまうと、書かれる内容は途端に痩せていきます。「いまの会社がダメになったら、転職活動をする」「副業に切り替える」──こうした抽象的で、誰にでも当てはまるような“非常時シナリオ”しか出てこなくなる。これでは、自分の5年後を真剣に描いたことにはなりません。

ライフデザインの教育者のあいだでは、「Plan A と Plan B という呼び方が、Plan 2 を最初から二級扱いさせてしまう」という指摘もよく語られます。Plan 2 を書く瞬間に「これは予備だから、適当でいい」と無意識に格下げしてしまえば、せっかくの3パターン描く意味そのものが消えてしまいます。

参考:Education * Designed「The Problems with Odyssey Plans」/https://educationdesigned.com/2020/06/23/the-problems-with-odyssey-plans/

3つのプランは「保険」ではなく「拡張された自己像」

オデッセイプランの本来の目的は、「もしもの備え」をすることではありません。それは、「自分のなかに眠っている、複数のあり得る生き方を可視化すること」にあります。

Plan 2 や Plan 3 を真剣に描いたとき、人は初めて「自分は本当はこういう未来にも惹かれていたのか」と気づきます。たとえば Plan 1(いまの会社員生活)を伸ばすつもりで書いたものの、Plan 3(制約なしのプラン)を書いた瞬間に「自分は本当は、もっと身体を動かす仕事のほうが好きなのかもしれない」と気づく。この気づきこそが、5年後の自分を変える最初の燃料です。

バーネットとエヴァンスは、こう言っています。

3つのプランの中から、どれが正解かを選ぶのではない。3つを並べることで初めて見えてくる『自分の価値観の輪郭』を見つけ出すために、わざわざ3つ描くのだ。

各プランに必須の3パーツ──ひと言タイトル、3つの問い、ダッシュボード

オデッセイプランは、ただ3つの未来シナリオを箇条書きするだけのワークではありません。1つ1つのプランに、「ひと言タイトル」「3つの問い」「ダッシュボード」という3つのパーツを必ず添えていきます。これがあるからこそ、3パターンを「ぼんやりしたイメージの羅列」ではなく、比較・評価・選択ができる試作品に格上げできます。

参考:Designing Your Life Odyssey Planning Worksheet(公式PDF)/https://designingyour.life/wp-content/uploads/2023/11/DYL-Odyssey-Planning-Worksheet-v21.pdf

①|ひと言タイトル──「短く言い切れる未来」を持つ

各プランには、そのプランの本質を「ひと言」で言い切るタイトルを必ずつけます。原典では英単語6つで言い切る「six-word title」と呼ばれていますが、日本語の場合は「短いキャッチコピー1行」のイメージで、長くても十数文字程度にとどめます。

【ひと言タイトルの例】

  • Plan 1:「いまの仕事を、もう一段引き上げる5年」
  • Plan 2:「会社員から、独立した職人になる5年」
  • Plan 3:「拠点を変え、書く仕事だけで生きる5年」

タイトルを「ひと言で言えない」プランは、本人の中でもまだ輪郭が結ばれていない証拠です。言語化を強制することで、ぼんやりしたイメージが「持ち運べる仮説」に変わる──ここにひと言タイトルの本当の効用があります。

この未来の輪郭を、さらに画像や言葉で可視化する方法としてビジョンボードがあります。オデッセイプランが「3つの未来シナリオ」を描くワークだとすれば、ビジョンボードはその未来を日常の視界に置き、行動へ接続するための補助ツールです。科学的に機能させる条件を別記事で整理しています。

②|3つの問い──「このプランは何を解こうとしているか」

次に、各プランごとに「このプランを生きることで、自分は何を確かめたいのか」という問いを2〜3個書き出します。これは、プランの内容そのものではなく、そのプランの背後にある好奇心を言語化する作業です。

【3つの問いの例(Plan 3「拠点を変え、書く仕事だけで生きる5年」の場合)】

  1. 会社という枠組みを離れたとき、自分はどこまで自律的に動けるのか?
  2. 「書く」という行為を5年間続けたとき、自分は何者になっているのか?
  3. 住む場所が変わると、自分の感性や創造性はどう変化するのか?

問いを書き出すと、「このプランは、私にとって本当に切実か、それとも借り物か」がはっきり見えてきます。問いがなかなか出てこないプランは、自分の人生にとってまだ熟していない仮説かもしれません。

③|ダッシュボード──4つのゲージで各プランを評価する

3つ目のパーツが、各プランを4つのゲージで評価する「ダッシュボード」です。バーネットとエヴァンスは、車のメーターになぞらえて、各プランを以下の4軸で「直感的に」スコアリングするよう勧めています。

【ダッシュボード4ゲージ】

  1. Resources(資源)──このプランを実行するための時間・お金・スキル・人脈は、いまの自分にどれくらいあるか?
  2. Likeability(好み・わくわく感)──このプランを思い浮かべたとき、自分はどれくらい心が動くか?
  3. Confidence(自信)──このプランを実際に5年走らせる自信が、いまの自分にどれくらいあるか?
  4. Coherence(一貫性)──このプランは、自分のワークビュー&ライフビュー(仕事観・人生観)と整合しているか?

このダッシュボードのポイントは、「Resources(資源)が低いから、このプランはダメ」と短絡的に判断しないことです。Confidence(自信)は経験を積めば変わるし、Resourcesは小さく試しているうちに増えていく。

むしろ重要なのは、「Likeability(わくわく感)」と「Coherence(一貫性)」のスコアです。心が動かないプラン、自分の価値観と矛盾するプランは、たとえResourcesとConfidenceが高くても、5年走らせるあいだに必ずどこかで折れます。逆に、Likeability・Coherenceが高ければ、いまの段階でResourcesやConfidenceが多少低くても、走るうちに育てていくことができます。

3つのプランを描き終えたあとの「もうひと手間」

3つのプランを書いて満足してしまうと、オデッセイプランは半分しか活用できません。バーネットとエヴァンスは、ワークの最後に「3つのプランを、信頼できる他人と共有する」ステップを必ず踏むよう勧めています。

「ライフデザインチーム」と語り合う

共有する相手は、3〜6人程度の信頼できる人間で構成された「ライフデザインチーム」と呼ばれるグループです。家族、友人、メンター、同じ問いを抱える仲間──共通点は、「あなたを批判せず、説教せず、ただ聴いてくれる人」だけです。

このチームに3つのプランを語り、フィードバックを受け取る。ただし、ここで求めるのは「どれが一番いいと思う?」というジャッジではありません。「あなたが3つを語っているとき、どのプランの話をしている時にいちばん表情が明るかったか」「逆にどこで言葉が詰まっていたか」といった、自分では見えない自分のサインを教えてもらう作業です。

プロトタイピングへの接続

3つのプランを描き、ダッシュボードで評価し、信頼できる他人と語り合う──ここまでで、ようやく「自分が次に試すべきプラン」がうっすらと見えてきます。そこから先は、もう「考える」フェーズではなく「試す」フェーズです。

たとえば Plan 3「書く仕事だけで生きる5年」が浮き上がってきたら、次の3ヶ月で「副業として有料記事を1本だけ書いて売ってみる」「すでに書く仕事をしている人に1時間話を聞きにいく」──こうした小さなプロトタイプに踏み込んでいきます。「考えるより試す」については、ライフデザインの全体像のなかで詳しく整理しています。

「試したいことはあるが、どこから始めればいいか分からない」という人にとって、「最小単位に分解して20時間だけ集中投下する」という発想は、プロトタイプの強力な補助線になります。3つのプランで描いた未来のうち、いちばん心が動くものを「20時間だけ試す」と決めてしまえば、ほとんどの未来は手の届く範囲に降りてきます。

なぜ「3パターン描く」だけで、人生が動き始めるのか

オデッセイプランの効果を、心理学・行動科学の観点から見ておきましょう。なぜ「未来を3つに分けて描く」というシンプルな作業に、これほどの実装力があるのでしょうか。

「選択肢の麻痺」を逆手に取る発想

選択肢が多すぎると、人はかえって決められなくなる──いわゆる「選択肢の麻痺(choice paralysis)」は、シーナ・アイエンガー(コロンビア大学)らの「ジャムの実験」をはじめ、複数の研究で繰り返し示されてきました。

オデッセイプランは、この性質を逆手に取ります。未来を「無限の可能性」と捉えれば人は止まりますが、「3つだけ」に切ると一気に動き出せる。これは、ToDoリストを長く書くより、3つに絞ったほうが行動率が上がるのと同じ構造です。

参考:Iyengar & Lepper (2000)「When Choice is Demotivating」(Journal of Personality and Social Psychology)/https://faculty.washington.edu/jdb/345/345%20Articles/Iyengar%20%26%20Lepper%20(2000).pdf

この「3つに絞る」効用は、日常のタスク管理でも同じ構造で働きます。ToDoリストが終わらない構造的な理由と、1日のタスクを3つに絞ったときに脳と行動がどう変わるかを、別の記事で詳しく整理しています。未来も日常も、「3つ」という上限が動き出すための鍵になる──このテーマの解像度がもう一段上がります。

「選ばなかった道への執着」がほどける

1つの未来に絞ろうとすると、人は「他の道を捨てる損失」を強く意識します。これは行動経済学でいう損失回避バイアスの典型で、「失う痛み」は「得る喜び」のおよそ2倍と言われます。だからこそ、たった1つを選び取ることに、人は強い心理的抵抗を感じます。

3パターン描く方式は、この抵抗を構造的に和らげます。「3つを並列で持っていい」と知った瞬間、「いまは1つを試すけれど、他の2つは消えたわけではない」と思える。「1つを選ぶ」のではなく「1つから試す」に発想が切り替わると、最初の一歩が圧倒的に踏み出しやすくなります。

「執着」が「実験」に変わる

もう1つ、オデッセイプランで起きる重要な変化があります。それは、未来に対する向き合い方が、「執着」から「実験」へと転換されることです。

「絶対にこの道で成功しなければ」と思っているうちは、人は失敗を許容できず、結果として動きが鈍ります。一方、「これは3つあるうちの1つの仮説で、いまはそれを試している」という構えになれば、うまくいかなかった結果すらも「次のプロトタイプの材料」として吸収できる。失敗が情報に変わる──これが、オデッセイプラン的な未来との関わり方です。

私の実践──3つのプランを描かなかった代償と、いま描くなら

正直に言えば、私は若い頃、オデッセイプランのように「未来を3パターン描く」発想を一度も持っていませんでした。20代〜30代前半はプロボクサーとしてリングに上がり、その時期は「ボクシング以外の未来」をほぼ考えなかったと言っていいくらい、目の前のひとつの道に没頭していました。リングを降りたあとはフリーターを経てネット起業の世界に入り、独自コンテンツの販売や個人向けコンサルティングを経験し、いまはGoogleリスティングアフィリエイトに活動の軸を移しています。

振り返ってみれば、それぞれの時期に「Plan 1(いまの延長)」しか持っていなかったことの代償は、たしかにあったと感じます。方向転換のたびに「いまの自分が積み上げてきたものをすべて捨てる」という痛みが伴い、そのたびに数ヶ月〜数年単位で立て直しの時間が必要になりました。もしあのとき、Plan 2 や Plan 3 を片隅に書き留めていたら、転換そのものはもう少しなめらかだったかもしれません。

逆に言えば、「未来を3パターン持っておくこと」は、決して優柔不断や保険のためではなく、「変わるときに、自分を必要以上に痛めつけずに変わるための備え」でもあります。一本道だけを信じてきた人ほど、別の道に踏み出すことは「これまでの自分の否定」のように感じてしまう。3つの未来を最初から並列に持っていれば、その地点での乗り換えは「移籍」程度の負荷で済みます。

いまの私が当時の自分にオデッセイプランを書かせるなら、こんな3つを書かせるはずです。

【もし当時、オデッセイプランを書いていたら】

  • Plan 1:「ボクシングと並行して、文章を書く5年」
  • Plan 2:「リングを降り、自分のスキルで稼ぐ仕組みを作る5年」
  • Plan 3:「拠点を縛らず、好きな場所で書きながら生きる5年」

当時の私はこのうち Plan 1 的な要素しか具体化できていませんでした。しかし、もし Plan 2 や Plan 3 を最初から横に置いて見ていれば、引退のあとに数年迷う時間は、もう少し短くて済んだはずです。3パターン描くことの本当の価値は、「いま何を選ぶか」だけでなく、「将来、選び直すときに自分を救うか」にもあるのだと、いまになって強く思います。

こうした「常識のレールから降りる」「価値観をもう一度組み立て直す」という思考の歩みは、私にとって人生の節目ごとに繰り返されてきたテーマでもあります。著書(Amazon kindle ランキング 5冠を達成した電子書籍)『あ、常識とかいいんで、とりあえず自由ください。』では、就職という「世間の正解」を選ばずに自分の道を歩み始めた決断や、価値観の変換が結果的に自分の自由をどう形作っていったかについて綴っています。オデッセイプランを「他人の方法論」として読むだけでなく、自分の人生に重ねて試してみたい方に、補助線として手に取っていただけると嬉しいです。下記より無料でお読みいただけます。

まとめ──「1つに絞らない勇気」が、5年後を変える

5年後の自分を1つに絞ろうとすると、人は止まります。絞ることが「正しい大人の姿勢」だと教え込まれてきたからこそ、絞れない自分に罪悪感まで覚えることになる。オデッセイプランが教えてくれるのは、その前提そのものを取り下げてよいという、静かな許可です。

3パターンを並列で描き、それぞれにひと言タイトルと3つの問いとダッシュボードを与え、信頼できる他人と語り合い、最も心の動いたプランから小さく試す──これがスタンフォード式オデッセイプランの全体像です。「決める」ためのワークではなく、「描いて、比べて、試す」ためのワーク。この違いを理解できれば、5年後の自分との関わり方は確実に変わります。

今日からできる第一歩は、たったひとつでいい。ノート1ページに、5年後の自分を3パターン書き出してみること。Plan 1(いまの延長)、Plan 2(いまの道が消えたら)、Plan 3(制約なしなら)。それぞれに短いタイトルをつけて、3つを並べて眺めてみる──。それだけで、これまで1本道に見えていた未来の景色は、確実に広がりを取り戻し始めます。

未来は、選ぶものではなく、描いて、試して、更新し続けるものです。1パターンに絞り切れない自分を責める必要はもう、どこにもありません。

リライフ特集

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Studio Rough Style(SRS)代表。 当サイト管理人&編集長。 1976年生まれ、熊本県出身、東京都在住。 元プロボクサーで、選手引退後に、派遣・アルバイトなど30社以上の現場を渡り歩くフリーター生活を経験後、セカンドキャリとしてネット起業の世界へ。 詳細は下記にて。 [clink url="https://studio-rough-style.net/self-introduction/"]

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