人生のテーマの見つけ方|一本の主題があれば選択はブレなくなる

テーマが人生を整えるイメージ
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「人生のテーマ」と聞くと、少し大げさに感じるかもしれません。

けれど、プロボクシングの世界を引退して次の生き方を探しあぐねていた私を立ち直らせたのは、壮大な計画でも綿密な人生設計でもなく、たった一本のテーマでした。

先にこの記事の答えをお渡しします。

人生のテーマは、未来に探しに行くものではなく、自分の過去から拾い上げるものです。

そして一本のテーマを持つと、日々の選択は驚くほどブレなくなります。逆に言えば、迷いの多くはテーマの不在から生まれています。

音楽の変奏曲を思い浮かべてください。テンポが変わり、楽器が変わり、雰囲気がまるで違って聞こえても、主旋律が同じなら「同じ曲」だと分かります。

人生も同じです。職業や住む場所という「編曲」は何度変えてもいい。主旋律さえ持っていれば、あなたの人生は一本の曲として繋がっていきます。

この記事では、テーマとは何か(目標や夢とどう違うのか)を整理したうえで、テーマがあると選択がブレなくなる理由を心理学の知見と私の実体験から解き明かし、今夜からできる「過去から拾い上げる3ステップ」の見つけ方までお伝えします。

  • 肩書きを何度替えても迷子にならなかった、私のテーマの話
  • 人生のテーマとは──目標・夢との決定的な違い
  • テーマを持つと選択がブレなくなる理由(研究の裏づけつき)
  • 人生のテーマの見つけ方──過去から拾い上げる3ステップ
  • 見つけたテーマの「使い方」──掲げるのではなく、照らす
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肩書きは何度も変わった。テーマは一度も変わっていない

私の職業歴は、我ながら一貫性がありません。

プロボクサー、フリーター、ネット起業、コンテンツ販売、ビジネスコンサルタント。そして現在は、指導者の立場を離れ、一人のプレイヤーとしてアフィリエイトを軸に静かに暮らしています。

履歴書だけを見れば、「ブレ続けた人生」に見えるはずです。

けれど、本人の実感はまったく逆です。

ボクシングを引退したとき、私は次の生き方を模索するなかで、自分の人生の信念を改めて自分に問いました。長い時間をかけて出てきた答えは、拍子抜けするほど短い一文でした。

「この世に生きた証がほしい」

自分が生きたことを証明してくれるのは、自分に関わってくれた人たちだけです。だから、たくさんの「ありがとう」に囲まれて生き、この世を去るときに、やり残しなく笑っていたい。

そのために、時間・場所・収入の自由を確保して、大切な人との体験に人生を使う──これが、私が自分の手で言葉にした人生のテーマです。

このテーマが決まってから、私の中で職業は「目的」ではなく「編曲」になりました。

リングの上で自分を証明するのも、コンサルタントとして誰かの転機に関わるのも、いまブログで文章を書いているのも、旋律は全部同じなのです。

周りからどれだけ「転々としている」と見えても、自分の中では一度も道を見失っていない。

これが、テーマを持つ人生の実感です。

だから私は、「ブレない」という言葉をこう定義し直しています。

ブレないとは、変わらないことではなく、変わっても迷子にならないこと。

守るべきは職業でも計画でもなく、主旋律のほうなのです。

人生のテーマとは──目標でも夢でもない「消えない主題」

言葉を整理しておきます。テーマ・目標・夢は、似ているようで役割がまるで違います。

  • 目標──達成したら消える「点」。(例:年収を上げる、資格を取る、大会で勝つ)
  • 夢──叶うかどうかが外の条件に左右される「絵」。(例:世界一周、ベストセラー作家)
  • テーマ──達成も失敗もない、生き方を貫く「線」。(例:生きた証を残す、面白がる人であり続ける、家族が安心して笑える状態をつくる)

目標は達成した瞬間に役目を終えます。だから目標だけで走っている人は、達成のたびに小さな迷子になります。「次は何を目指せばいいのか」と。大きな目標を叶えた直後ほど空虚になる──あなたも、受験や大きな仕事のあとに経験したことがあるのではないでしょうか。

テーマには、この空白がありません。達成という概念がそもそもないからです。「生きた証を残す」というテーマに、ゴールテープはありません。その代わり、どんな局面でも「では、いまの自分はどう動くか」という問いを立ててくれます。

目標は行き先を1つ決めるもの、テーマはすべての行き先の選び方を決めるもの、と言ってもいいでしょう。

ちなみに「テーマ」という言葉は、もともと音楽や文学で「主題」を指す言葉です。変奏曲では、主題が形を変えながら何度でも現れます。

人生のテーマも同じで、20代の編曲と50代の編曲が違うのは当たり前。変わり続ける表面の下に、変わらない一本があるかどうかだけが問題なのです。

テーマがあると、なぜ選択がブレなくなるのか

理由はシンプルで、迷いの正体は「選択肢の多さ」ではなく「基準の不在」だからです。

転職するかどうか。引き受けるか断るか。都会に残るか離れるか。

選択肢が2つしかなくても、照らす基準がなければ人は延々と迷います。逆に基準が一本通っていれば、選択肢が10個あっても選べます。

テーマとは、その基準の最上位に置く一本のことです。

私にも、基準を失っていた時期があります。

ネット起業で結果が出始めたころ、稼ぐこと自体がいつの間にか目的にすり替わり、数字だけを基準に選択を重ねた末に、最も大切な人を失いました。あの時期の私は、選択肢に迷ってはいませんでした。迷いなく、間違え続けていたのです。

テーマの不在は、迷いだけでなく「誤った確信」も生む──これは身をもって学んだことです。

興味深いことに、「人生の目的意識」の効果は、健康の分野でも繰り返し確認されています。

米国の中高年約7,000人を追跡したミシガン大学などの研究チームの調査(JAMA Network Open, 2019)では、人生の目的意識が最も低いグループは、最も高いグループに比べて追跡期間中の全死因死亡リスクが2.4倍超でした。また、ヒルとトゥリアーノの研究(Psychological Science, 2014)は、14年間の追跡で「目的意識の高い人ほど長生きする」傾向が、年齢や引退の有無にかかわらず見られたと報告しています。

もちろん、これらは相関関係であり、因果の向きについては現在も検証が続いています。それでも、「何のために生きるか」という一本の感覚が、心の安定だけでなく体の側にまで影響しうるという知見は、テーマを持つ価値の裏づけとして十分に興味深いものです。

参考:Aliya Alimujiang et al. “Association Between Life Purpose and Mortality Among US Adults Older Than 50 Years”(JAMA Network Open, 2019)/https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2734064
参考:Patrick L. Hill & Nicholas A. Turiano “Purpose in Life as a Predictor of Mortality Across Adulthood”(Psychological Science, 2014)/https://doi.org/10.1177/0956797614531799

なお、ここで言うテーマは「立派な社会貢献」である必要はありません。

私の「生きた証がほしい」も、突き詰めれば個人的な願望です。エゴイズムと言われれば、その通り。

でも、それでいいのです。

他人に説明して褒められるためのテーマは、たいてい他人のテーマです。自分の胸の内で、静かに、しかし確かに熱を持つ一文であるかどうか。それだけが条件です。

人生のテーマの見つけ方──未来に探さず、過去から拾い上げる3ステップ

では、どう見つけるか。

多くの人は、テーマを「これから出会う何か」として未来の方向に探します。

私は逆をおすすめします。

テーマはすでにあなたの過去の中にあり、まだ言葉になっていないだけです。

私の「生きた証」も、引退後にゼロから発明したものではありません。リングに上がっていた10年間、私を突き動かしていたものに、あとから名前をつけただけでした。

用意するのは紙とペン、時間は30分ほど。次の3ステップで拾い上げます。

ステップ1:「何度も選び直してきたもの」を書き出す

これまでの人生で、環境が変わっても繰り返し選んできたもの・戻ってきたものを書き出します。職業・趣味・人間関係・お金の使い道、何でも構いません。

一度きりの選択は、状況がそうさせたのかもしれません。けれど、2度3度と選び直してきたものには、あなたの主旋律が鳴っています。

私の場合、ボクシングも起業も文章も、「自分の力で何かを証明できる場所」という共通点がありました。形は違えど、選んでいたものはずっと同じだったのです。

ステップ2:「どうしても許せないこと」を裏返す

次に、心が強く動いた場面を思い出します。ポジティブな場面でもいいのですが、実は怒りや悔しさのほうが、テーマの在り処を正確に指します。憧れは飾れますが、怒りは飾れないからです。

「才能を環境のせいで諦める人を見ると胸がざわつく」なら、あなたのテーマは「可能性を環境から解放すること」の近くにあります。「使い捨てにされる働き方がどうしても許せない」なら、「人が道具にされない仕組みをつくること」かもしれません。

許せないことの裏側には、あなたが守りたいものが隠れています。

似た手法として、「満員電車が嫌だ」のような日常の不快を裏返して働き方の方向を決めるやり方を、やりたいことがわからない人向けの記事で紹介しました。

あちらが暮らしの方向を決める表層の裏返しだとすれば、ここで拾うのは「何を守りたいか」という価値観の層です。

ステップ3:一文にして「仮決め」する

ステップ1と2で出てきた素材を眺めて、共通する願いを一文にします。ここで大事なのは、完璧な一文を目指さないことです。

テーマは「発見」した瞬間に完成するのではなく、「仮決め」して生きてみることで精度が上がっていくものです。

実際、私のテーマも最初から今の言葉だったわけではありません。「生きた証がほしい」という核は同じでも、その表現や具体的な形は、結婚や失敗や方向転換を経るたびに書き換わってきました。清書はいつでもできます。まずは鉛筆で書いてください。

なお、この「仮決めして試しながら直す」という進め方は、スタンフォード大学のライフデザイン講座が体系化している考え方でもあります。人生を計画ではなく試作で描くという発想の全体像は、別の記事で詳しく整理しています。

テーマは掲げるものではなく、使うもの

最後に、見つけたテーマの使い方です。

手帳の1ページ目に書いて満足するのは、額縁に入れて飾るのと同じで、少しもったいない。テーマは日々の選択を照らす道具として使ってこそ意味があります。

【テーマの使い方・3つの場面】

  1. 迷ったとき──「どちらがテーマに近づくか」で選ぶ。正解を探すのではなく、旋律に合う方を選ぶ。
  2. 手段を替えるとき──「これはテーマの編曲か、それとも旋律の放棄か」と問う。編曲なら、遠慮なく替えていい。
  3. 順調なとき──「数字ではなくテーマに向かって進んでいるか」を確かめる。基準のすり替わりは、うまくいっている時期ほど静かに起こります。

3つ目は、私の失敗からの教訓です。あの頃の私にテーマの自覚があれば、「その稼ぎ方は、ありがとうに囲まれる人生に向かっているか?」という問いが、暴走を止めてくれたはずでした。

ひとつ補足すると、テーマは「やりたいことが見つからない」という悩みへの答えにもなります。やりたいこと(What)が見つからなくても、どう在りたいか(テーマ)が決まっていれば、目の前のできることをテーマに沿ってやるだけで、人生は前に進むからです。

テーマが決まったら、それを毎日の暮らしの解像度に落とす「理想の1日」のワークが次の一手になります。

また、テーマが定まると、世間の物差しに頼らない「自分なりの成功の基準」も自然と輪郭を持ち始めます。テーマから成功基準を具体化する5つの問いは、別の記事にまとめています。

おわりに──主旋律さえあれば、人生は何度でも編曲できる

要点をまとめます。

人生のテーマとは、達成して消える目標ではなく、生き方を貫く「消えない主題」です。

テーマがあると、選択の基準が一本通り、迷いが減るだけでなく、うまくいっている時期の「誤った確信」からも守られる。

そしてテーマは未来に探すものではなく、「何度も選び直してきたもの」と「どうしても許せないこと」という過去の中から拾い上げ、一文にして仮決めするものです。

職業が変わることも、住む場所が変わることも、恐れる必要はありません。それは旋律の放棄ではなく、編曲です。

変わっても迷子にならない人生は、一本のテーマから始まります。

私自身のテーマ──「生きた証」と、時間・場所・収入の自由をめぐる紆余曲折の全編は、著書(Amazon kindle ランキング 5冠を達成した電子書籍)『あ、常識とかいいんで、とりあえず自由ください。』に綴っています。一人の人間がテーマを見つけ、見失い、拾い直すまでの記録として、下記より無料でお読みいただけます。

また、それぞれ違う一本のテーマを軸に、職業や場所を変えながら自分のスタイルで暮らす人たちの実例は、インタビューまとめで読めます。他人のテーマは真似できませんが、「テーマの持ち方」の見本帳としては、これ以上ない教材です。

リライフ特集

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Studio Rough Style(SRS)代表。 当サイト管理人&編集長。 1976年生まれ、熊本県出身、東京都在住。 元プロボクサーで、選手引退後に、派遣・アルバイトなど30社以上の現場を渡り歩くフリーター生活を経験後、セカンドキャリとしてネット起業の世界へ。 詳細は下記にて。 [clink url="https://studio-rough-style.net/self-introduction/"]

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