得意なことがない人の副業の選び方|特技は探すものではなく育てるもの

2026.08.12
「得意」は後からついてくるイメージ
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「得意なことがない自分には、副業なんて選べない」

もしそう感じて足が止まっているなら、先に結論をお伝えします。副業選びに、得意なことは要りません。

私がそう断言できるのは、自分自身がそうだったからです。

プロボクサーを引退した日、リングの外で通用する特技は、私にはひとつもありませんでした。

その後のフリーター時代に在籍した職場は30を優に超えますが、履歴書の「特技」の欄に胸を張って書けるものは、最後まで見つからなかった。

それでもいまは、誰にも雇われず、ネットビジネスで生計を立てています。

つまり、順番が逆なのです。

得意なことがあるから選べるのではなく、選んで続けたものが、得意になっていく。

【この記事の結論】

  • 「得意なことがない」は、副業を始められない理由にならない。得意は始める前の持ち物ではなく、続けた先の結果である。
  • 選ぶ基準は「得意かどうか」ではなく、①市場があるか、②積み上がるか、③自分の性質と喧嘩しないか──の3つ。
  • むしろ「何もない」人は、いまの手持ちに引っ張られず市場から素直に選べるぶん、有利なことさえある

この記事では、なぜ「得意なこと探し」が副業選びを止めてしまうのかを調査データと私自身の遍歴から解き明かし、そのうえで、得意の代わりに使える3つの選択基準と、選んだものを得意に育てていく手順をお伝えします。

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唯一の「得意」は、引退した日に市場を失った

まず、私の話を少しだけさせてください。

「得意なことを軸に選ぶ」という発想そのものの危うさを、身をもって知った話です。

私の人生で唯一、得意と呼べたものはボクシングでした。約10年間、プロのリングで戦い続けたのですから、これだけは誰に対しても「得意です」と言えたはずです。

ところが引退した日、その得意を買ってくれる場所は、世の中のどこにもありませんでした。パンチの打ち方も、減量の技術も、リングを降りた瞬間に値段がつかなくなった。

10年かけて磨いた「得意」が、市場を失えば一円にもならない──これが、私が最初に学んだ現実です。

その後のフリーター時代は、接客、派遣、力仕事と、職場を移り続ける日々でした。どの職場でも「そこそこできる」ことはあっても、「これが得意です」と言えるものは育ちませんでした。

数ヶ月から数年で職場を移る働き方では、何かが積み上がる前にリセットされてしまうからです。

そんな人間が30代でネットビジネスの世界に入りました。ビジネスの知識はゼロ。正直に言うと、最初に惹かれたのは収入の大きさでした。

ただ、続けるうちに考えは変わっていきます。この世界の本当の価値は金額ではなく、「自分で自分の人生をデザインできる」ことにある──いまの私は、そう捉えています。

そして数年後、気がつけば「文章を書くこと」と「広告を運用すること」が、「人からお金をいただける水準の得意」になっていました。始める前の私に、その芽はかけらもありませんでした。

得意は、始める前に持っているものではなく、続けた人に、あとから配られるものだったのです。

「やりたい人」4割、「やっている人」1割──動けない正体はスキルへの気後れ

「得意なことがないから動けない」というのは、あなただけの悩みではありません。データにも、はっきりと現れています。

パーソル総合研究所の第四回調査(2025年)によると、正社員の副業実施率は11.0%。調査開始以来もっとも高い数字ですが、それでも10人に1人です。一方、同研究所の第三回調査(2023年)では、副業をしていない正社員のうち「副業をやりたい」と考えている人は40.8%にのぼりました。

やりたい人と、やっている人。両者のあいだには、いまも30%前後の断層が横たわっています。

興味深いのは、その断層の中身です。

第三回調査では、副業の意向がありながら動いていない人に、求人への「応募控え」の意識が確認されています。「その求人票に自分が応募する必要はないと感じる」が31.7%、「応募することを控えようと思う」が30.4%。

その背景には、求められる「経験・スキルの高さ」への気後れが潜んでいると分析されています。

参考:パーソル総合研究所「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」(2023年)/https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/sidejob3.html ※実施率11.0%は同「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」(2025年)/https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/sidejob4/

つまり、「自分には差し出せるスキルがない」と感じて立ち止まる現象は、副業を考える人の多数派が通る構造だということです。あなたの欠陥ではありません。

ただし、ここで見落としてはいけないことがあります。

この気後れの前提には、「副業は、いまある得意を売る場所だ」という思い込みがあるという事実です。

その前提が正しいのは、クラウドソーシングで実務スキルを切り売りするタイプの副業だけ。世の中には、始める時点のスキルがほぼ問われない選び方が、ちゃんと存在します。

得意は「入場券」ではない──就職の発想を副業に持ち込まない

なぜ私たちは、副業を選ぶ前に「得意なこと」を探してしまうのでしょうか。

それは、就職の発想をそのまま副業に持ち込んでいるからだと私は考えています。

就職や転職では、面接官が「あなたは何ができますか」と尋ねてきます。いま持っているスキルが入場券であり、それがなければ門は開かない。

私たちは学生時代からこの仕組みの中で生きてきたので、新しく何かを始めるときも、まず手持ちを確認する癖がついています。

しかし、個人で始める副業に面接官はいません。ブログを開設するのに審査はなく、広告アカウントを作るのに職務経歴書は要らない。

入場券を確認する人が、そもそも存在しないのです。

問われるのは始める前の手持ちではなく、始めたあとに積み上げたものだけです。

むしろ、と言わせてください。

得意なことがある人のほうが、遠回りをすることがあります。手持ちの得意に引っ張られて、「それがお金になる市場かどうか」の検討を飛ばしてしまうからです。

好きや得意を起点にした仕事選びに潜む収益性の落とし穴については、こちらの記事で詳しく整理しています。

その点、「何もない」人は身軽です。

手放すものがないぶん、市場から素直に選べる

これは慰めではなく、選び方の設計上、実際に有利な条件です。

「得意」の代わりに使う、3つの選択基準

では、得意を基準にしないなら、何を基準に選べばいいのか。

私が実際に使ってきた、3つの基準をお伝えします。

基準①|市場があるか──個人に門戸が開かれ、お金が動いているか

第一の基準は、自分ではなく市場を見ることです。

確認すべきは2点。

その分野で実際にお金が動いているか。そして、個人が参入できる入口があるか

この2つが揃っていない分野は、どれだけ興味が持てても、副業としては選ばないほうが賢明です。

ボクシングを例に挙げると、技術の高さと、市場があるかどうかは、まったく別の問題です。世界チャンピオン級の得意であっても、買い手のいない市場では値段がつきません。

逆に言えば、お金が動いている市場を選びさえすれば、スタート時点の技術は「これから身につけるもの」で構わないのです。

基準②|積み上がるか──半年後、手元に何が残るかで判定する

第二の基準は、時間の使い方の質です。

副業には、大きく分けて2つの型があります。時間を切り売りして、その場で現金に換える型。もうひとつは、作業した分がスキルや資産として手元に積み上がっていく型です。

判定の方法は簡単で、「半年続けたとき、手元に何が残るか」を想像することです。

配達やデータ入力を半年やれば、確かにお金は残ります。しかし、辞めた瞬間にすべてが止まる。一方、ブログでもサイト運営でも広告運用でも、作ったものと覚えたことが残る型なら、半年後のあなたは「得意の芽」を手にしています。

得意なことがない人こそ、この基準が重要です。

積み上がる型を選ばない限り、1年後も「得意なことがない自分」のままだからです。

逆に積み上がる型を選べば、得意は時間が勝手に育ててくれます。

基準③|性質と喧嘩しないか──得意は不要でも、逆張りは消耗する

第三の基準だけは、自分の内側を見ます。ただし見るのは「得意かどうか」ではなく、「自分の性質に逆らっていないか」です。

私は昔から、群れることが苦手な人間です。組織の中では、この性質はもっぱら欠点として扱われてきました。そんな私が、もし「人脈を広げて案件を取ってくる営業型の副業」を選んでいたら、スキル以前に消耗して終わっていたでしょう。

実際に選んだのは、ひとりで完結する在宅の作業型でした。誰とも群れず、黙々と画面に向かい、数字と文章に向き合う。会社員としては欠点だった性質が、この環境では何の摩擦も生まない。

性質は、置く場所を変えるだけで、欠点から中立に、中立から強みに変わります。

得意なことは後から育てられますが、性質は簡単には変わりません。

夜型か朝型か。コツコツ型か一点集中型か。人と話すと充電されるか、消耗するか。

この程度の粗い自己認識で十分なので、性質と正面衝突する選択肢だけは外しておく──それが第三の基準です。

「自分には何もない」は思い込み──あなたの当たり前は、誰かの新情報

3つの基準の話をすると、決まって返ってくる言葉があります。

「基準はわかった。でも、やっぱり自分には発信できるものも、売れるものも何もない」

これに対する私の答えは、昔から一貫しています。

それは100%、思い込みです。

私は以前から「世の中の97%は、あなたの業界を知らない」と言い続けてきました。

あなたが勤め先で当たり前にこなしている段取り、業界内では常識とされる知識、失敗して覚えた注意点。それらは、外の世界の人にとってはすべて新情報です。

私自身、「コンテンツビジネスの知識なんて誰でも知っている」と思い込んでいた時期がありましたが、知っていたのは内輪だけでした。

価値があるかどうかは、中身ではなく、見せる相手で決まる──これが、発信する側に回って初めてわかったことです。

考えてもみてください。30を超える職場を転々とした経歴は、就職市場では「一貫性のない職歴」という負債でしかありませんでした。ところがいまは、この遍歴こそが私の記事の素材であり、同じように働き方に迷う読者への説得力の源泉になっています。

どの経験が価値になるかは、立つ市場によって変わるのです。

だから、「何もない」と感じるのは、価値がないからではありません。まだ、値段のつく市場にそれを持ち込んだことがないだけです。

選んでから得意にする──動き出すための3つの手順

最後に、3つの基準を実際の行動に落とす手順をお伝えします。

手順①|「やらないこと」から決める

選択肢を広げるところから始めると、情報の海で溺れます。最初にやるべきは逆で、基準③を使って「自分の性質と喧嘩するもの」を消すことです。

人と会うと消耗するなら対面型を消す。まとまった時間が取れないなら、即レスが求められる請負型を消す。

消去法の考え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

手順②|市場と積み上げで2つまで絞り、ひとつに決める

残った選択肢を、基準①(市場があるか)と、基準②(積み上がるか)でふるいにかけ、候補を2つまで絞ります。

そして、ここが肝心なのですが──比較検討を、そこで打ち切ってください。

得意なことがない人の副業選びで最大の時間泥棒は、選択肢を並べたまま「もっと自分に合うものがあるはずだ」と探し続けることです。得意は選んだ後に育つのですから、2つの候補のあいだに、現時点で決定的な差はありません。コインを投げてもいいくらいです。

決められないこと自体が、いちばんの損失です。

手順③|3ヶ月続けて、「育つかどうか」を見る

選んだら、3ヶ月は続けてみてください。この期間で判定するのは、成果の大きさではありません。

先週の自分より、何かがうまくなっているか──つまり、積み上がりが発生しているかどうかです。

3ヶ月前より調べる速度が上がった。文章を書く抵抗が減った。管理画面の数字が読めるようになった。そういう変化があるなら、得意は順調に育っています。

成果そのものが出るまでの現実的な期間については、こちらの記事で目安を整理しています。

反対に、3ヶ月続けても積み上がりの感覚がまったくないなら、それは基準②か③の見立てがずれていたということ。手順①に戻って、選び直せばいいだけです。

この試行錯誤は失敗ではなく、選び方の精度が上がる工程です。

おわりに──「得意なことがない」は、じつは身軽である

要点をまとめます。

  • 得意は始める前の持ち物ではなく、続けた先に配られる結果。副業に入場券は要らない。
  • 選ぶ基準は、①市場があるか、②積み上がるか、③性質と喧嘩しないか
  • 「何もない」は思い込み。価値は中身ではなく、見せる相手(市場)で決まる
  • 消去法で外し、2つまで絞って決め、3ヶ月続けて「育つかどうか」を見る。

唯一の得意が市場ごと消えた男が、知識ゼロの分野を選び直して、いまも静かに続けている──私の歩みは、それだけの話です。けれど、だからこそ言えます。

いま何も持っていないことは、これから何にでもなれることと同じ意味です。

そして、やることの見当がついたら、次はスキルの習得ではなく、副業を始める前の準備──時間・家族・お金という環境づくりです。1週間で整えられる手順を、こちらにまとめました。

なお、始めたあとに「やっぱり向いていないのでは」と感じる時期は、誰にでも来ます。そのときに感覚で辞めてしまわないための仕分けの手順は、こちらの記事に用意してあります。

特技なし、知識ゼロ、30超の職場遍歴──そんな人間がどんな紆余曲折を経て「誰にも雇われない生き方」にたどり着いたのか。その全編は、著書(Amazon kindle ランキング 5冠を達成した電子書籍)『あ、常識とかいいんで、とりあえず自由ください。』に綴りました。無料でお読みいただけます。

また、私が「市場があり、積み上がり、ひとりで完結する」という3つの基準すべてを満たす副業として選んだのが、Googleリスティングアフィリエイトです。知識ゼロから始められるよう教科書としてまとめた大全を、無料で公開しています。

リライフ特集

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Studio Rough Style(SRS)代表。 当サイト管理人&編集長。 1976年生まれ、熊本県出身、東京都在住。 元プロボクサーで、選手引退後に、派遣・アルバイトなど30社以上の現場を渡り歩くフリーター生活を経験後、セカンドキャリとしてネット起業の世界へ。 詳細は下記にて。 [clink url="https://studio-rough-style.net/self-introduction/"]

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