「何がしたいかわからない」──この状態を、多くの人は「自分の欠陥」だと感じています。
周りを見れば、やりたいことに向かって進んでいる人がいる。SNSを開けば、「好きなことで生きていく」人たちが輝いて見える。それに比べて自分には、情熱を注げるものが何もない。この歳になって、自分が何をしたいのかすらわからない──。
先に、私の結論をお伝えします。
やりたいことは、「探して見つける」ものではありません。「手を出して育てる」ものです。
私はプロボクサーを引退した30代半ば、まさに「何もない自分」に焦っていました。そこから抜け出せたのは、やりたいことが「見つかった」からではありません。確信もないまま手を出したものに、没頭した結果です。
本記事では、その実体験と心理学の研究を根拠に、「何がしたいかわからない」状態から抜け出すために試してほしい、3つの具体的な行動をお伝えします。

無料で学んでみませんか?
【無料参加特典】
ビジネス自動化講座(定価169,800円)
「やりたいことを探せ」という助言が、あなたを止めている
まず、前提をひとつ壊させてください。
「やりたいことを見つけよう」
「自分の情熱に従おう」
世の中にあふれるこの助言こそが、実は多くの人を動けなくしている疑いがあります。
スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエックらの研究チームは、「情熱は発見するものだ」と信じている人と、「情熱は育てるものだ」と信じている人を比較する実験を行いました。結果は明確でした。
「発見するもの」と信じている人は、既存の興味の外にあるものへの関心が低く、さらに、新しく興味を持ったことでも困難にぶつかった途端に「これは自分の情熱ではなかった」と手放しやすいのです。
参考:O’Keefe, P. A., Dweck, C. S., & Walton, G. M. (2018). Implicit Theories of Interest: Finding Your Passion or Developing It? Psychological Science, 29(10)./https://doi.org/10.1177/0956797618780643
理由は単純です。「運命の仕事」「本当にやりたいこと」がどこかに完成品として存在すると信じていると、目の前のことに違和感や退屈を覚えるたびに「これは違う」と判定してしまう。そして、探し続ける。どれにも手を出さないまま。
研究チームは論文の締めくくりで、こう警告しています。
「情熱を探せ」という助言は、「これだ」と思えるたったひとつに全てを賭けさせたうえで、壁にぶつかった瞬間、その全てを投げ出させてしまう危険がある──と。
つまり、「何がしたいかわからないあなた」に足りないのは、自己分析でも適性診断でもありません。
育てる前の「種まき」の行動量です。
私も「何もない自分」だった──ボクシングも起業も、確信から始まっていない
偉そうに書いていますが、私自身、人生の岐路で「これがやりたい」という確信を持てたことは、実は一度もありません。
ボクシングを始めたのは大学時代です。世界チャンピオンを目指すという明確な計画があったわけではなく、辰吉丈一郎さんの姿に感銘を受けて、気づいたらジムに通い始めていました。入口は「憧れ」という、根拠のない衝動です。それでも没頭するうちに、ボクシングは私の人生そのものになりました。
引退後は、もっとひどい状態でした。30代半ば、肩書きも貯金もない元プロボクサー。フリーターとして働きながら、「新しく何かを始めるなら、もう時間がない」という焦りだけがありました。何がしたいかなんて、わかるはずもありません。
そんなとき、ネットビジネスの存在を知りました。パソコンのスキルなど、ないに等しい状態です。それでも「これで大きく稼げそうだ」という浅はかな思いだけで、この世界に飛び込みました。
お気づきでしょうか。「浅はかな直感」です。天職の確信でも、綿密な自己分析の結果でもない。
しかし、その浅はかな入口から没頭していった先に、いまの仕事があり、いまの自由な生き方があります。アフィリエイトも、コンテンツ販売も、この記事を書いていることも、全部その延長線上です。
やりたいことは、始める前にはわからなかった。やっているうちに、やりたいことに育っていった──これが、私の実感です。
だからあなたにも、断言できます。「何がしたいかわからない」のは、あなたに何かが欠けているからではありません。まだ手を出した数が足りないだけです。
試すこと① 「やりたいこと」ではなく「嫌なこと」を書き出す
では、具体的に何をすればいいか。1つ目は、発想の反転です。
「何がしたいか」という問いに答えられない人でも、「何が嫌か」という問いにはスラスラ答えられるはずです。満員電車が嫌だ。上司の顔色をうかがうのが嫌だ。時間を切り売りする働き方が嫌だ。日曜の夜に憂鬱になるのが嫌だ──。
紙に全部書き出してください。そして、その「嫌なことリスト」を裏返すのです。
【「嫌」の裏返しが、方向になる】
- 満員電車が嫌だ → 場所に縛られない働き方を調べてみる
- 指示されるのが嫌だ → 自分で決められる小さな仕事を持ってみる
- 時間の切り売りが嫌だ → 成果で評価される領域に触れてみる
私の場合、明確だったのは「雇われるのが嫌だ」ということだけでした。就職という選択肢は、私の中に皆無だった。やりたいことはわからなくても、「絶対にやりたくないこと」だけははっきりしていた。そして実際、方向を決めるにはそれで十分だったのです。
「やりたいこと」は霧の中でも、「嫌なこと」は目の前にあります。まず嫌なことから逆算する──これが、霧の中でコンパスを手に入れる最初の方法です。
なお、この「嫌なこと」の中に「他人の期待に応え続けること」が入っていた人は、そもそも判断の基準が他人側にある状態かもしれません。自分軸と他人軸を見分ける方法は、別の記事で詳しく書いています。
試すこと② 「少しでも気になったもの」に、確信ゼロで手を出す
2つ目は、種まきです。
ここで大事なルールをひとつ。「確信」を入場条件にしないでください。
「本当にやりたいことかどうかわからないから、始めない」──この理屈が通用するなら、私は一生ネットビジネスを始められませんでした。私の入場チケットは「これで稼げそう」という浅はかな直感だけです。それでよかった。むしろ、それがよかったのです。
先ほどの研究が示すとおり、興味は完成品として見つかるものではなく、関わるほど育つものです。だとすれば、合理的な戦略はひとつしかありません。「ちょっと気になる」程度のものに、片っ端から小さく手を出すことです。
【小さく手を出す例】
- 気になる分野の本を1冊読んでみる
- 体験教室・単発講座に1回だけ参加してみる
- 無料ツールで、まず1つ作ってみる(ブログ・動画・デザイン何でも)
- その仕事をしている人の発信を1週間追いかけてみる
ポイントは「小さく」です。人生を賭ける必要はありません。合わなければやめていい。ここでの目的は運命の何かを引き当てることではなく、興味の種を複数まくことだからです。
「そもそも気になるものすらない」という方は、過去の自分にヒントを探すのが近道です。子どもの頃に時間を忘れてやっていたこと、お金にならないのについ調べてしまうこと。大人になってからの興味の掘り起こし方は、こちらの記事が参考になるはずです。
また、「自分の人生には可能性が1本しかない」という思い込みを外すワークとして、5年後の自分を3パターン描いてみる「オデッセイプラン」もおすすめです。選択肢は、描いてみると意外なほど複数あることに気づけます。
試すこと③ 手応えのあったものに、期限つきで没頭する
3つ目が、いちばん重要です。
種をまいたら、そのうち「これは少し手応えがあるな」というものが出てきます。楽しいとまでは言えなくても、苦にならない。気づいたら時間が経っている。人より少しだけ飲み込みが早い──その程度の手応えで十分です。
それが見つかったら、期限を決めて、没頭してみてください。私のおすすめは「3ヶ月〜1年」です。
なぜ没頭が必要か。興味ややりがいは、上達の後からやってくるからです。どんな分野でも、始めたばかりの時期は下手で、下手な時期は面白くありません。少し続けて、できることが増えて、初めて面白くなる。「やりたいことかどうか」を入口で判定できない理由は、ここにあります。判定材料は、没頭の先にしか落ちていないのです。
私自身、ネットビジネスに没頭していた時期は、フリーターとしてトリプルワークをこなしながらの作業でした。楽しいかどうかなんて、考える余裕もありませんでした。それでも手を動かし続けた先で、初めて自力で収益が発生した瞬間、これは自分の道になると確信した。
確信は、スタート地点ではなくゴールの手前で手に入ったのです。
この「没頭」という状態が人の成長と満足度をどれほど左右するかは、フロー理論という心理学の研究領域で裏づけられています。努力を努力と感じなくなる没頭の仕組みは、別の記事で詳しく解説しています。
注意点──「やりたいこと」と「稼げること」を混ぜない
最後に、つまずきやすいポイントをひとつだけ。
「何がしたいかわからない」と悩む人の多くは、無意識に「やりたくて、稼げて、人に誇れること」を一発で探そうとしています。この条件を全部満たす完成品は、まず見つかりません。だから、いつまでも決められないのです。
順番を分けてください。まず小さく手を出し、育て、手応えのあるものに没頭する。それを仕事にするかどうか、収益をどう設計するかは、その後に考えればいい別の問題です。「好きなこと」をそのまま仕事にすることには、メリットと同じだけ落とし穴もあります。この見極めについては、こちらで詳しく書いています。
おわりに──「わからない」は欠陥ではなく、行動前の正常な状態
まとめます。「何がしたいかわからない」ときに試すことは、この3つです。
- 「嫌なこと」を書き出して、裏返す──方向はそれで決まる
- 気になるものに、確信ゼロで小さく手を出す──種まきの数が全て
- 手応えのあったものに、期限つきで没頭する──確信はゴールの手前で手に入る
やりたいことが「わからない」のは、あなたの感受性や能力の欠陥ではありません。行動する前の人間にとって、それが正常な状態です。頭の中をいくら検索しても、そこにないものは出てきません。材料は、外での行動からしか手に入らないのです。
完璧な答えを見つけてから動くのではなく、ラフな仮説で動きながら、答えのほうを育てていく。人生の完成図を先に描くのではなく、ラフ案を描いては修正する──それが、このサイトで一貫してお伝えしている生き方です。
「何もない自分」だった元プロボクサーが、浅はかな直感からネット起業に没頭し、自由な生き方を手に入れるまでの一部始終は、著書(Amazon kindle ランキング 5冠を達成した電子書籍)『あ、常識とかいいんで、とりあえず自由ください。』に綴っています。下記より無料で読めますので、「わからないまま動き出す」感覚を掴む参考にしてみてください。
当サイトのインタビューに登場する方々も、最初から「やりたいこと」が明確だった人はほとんどいません。それぞれが何に手を出し、どこで手応えを掴んだのか──迷っている今だからこそ、実例の声が参考になるはずです。

コメント
この記事へのコメントはありません。