貯金だけでは資産は増えない|インフレ時代の「守る・増やす・生み出す」三段構え

2026.04.24
今の安心が目減りしているイメージ
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貯金だけでは、資産は増えない──この言葉を、私は二つの立場から書いています。

一つは、かつて「貯金」以外のお金の管理を何ひとつ知らなかった、フリーター時代の私。

もう一つは、その後ネット起業で自分の力で稼ぐようになり、投資の世界にも足を踏み入れて、一瞬で900万円を溶かした私です。

つまり、「貯金しか知らない怖さ」と「貯金の外に出る怖さ」の両方を、身銭で経験してきました。

その上で断言できるのは、インフレが本格化した現代において、「とりあえず貯金しておけば安心」はもう成立しないということ。そしてもうひとつ──巷のインフレ対策の議論には、大事な柱が一本抜けているということです。

この記事では、貯金が静かに目減りする仕組みを数字で確認したうえで、私がたどり着いた「守る・増やす・生み出す」の三段構えという考え方をお伝えします。

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「貯めた額の中でやりくりする」しか知らなかった頃の私

プロボクサーを引退し、フリーターとして働いていた頃の私にとって、お金とは「働いた時間と引き換えに受け取るもの」でした。時給の世界です。

収入を増やす方法はシフトを増やすことしかなく、だからお金の管理といえば、入ってきた額から少しずつ取り分けて、貯めた額の中でやりくりすること──つまり貯金がすべてでした。

「貯蓄は美徳」という感覚を、疑ったことすらありませんでした。そしてこれは、私だけの話ではありません。日本の家計金融資産の約51%は、いまも現金・預金に偏っています。米国は約11%で、残りは株式や投資信託などに振り分けられている。この差は際立っています。

参考:日本銀行「資金循環の日米欧比較」2024年8月/https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf

日本人が貯金を愛するのには、理由があります。戦後の復興期に国が徹底して貯蓄を奨励したこと。そして1990年代後半から約30年続いたデフレ環境では、物価が下がり続けるため、現金を持っているだけで実質的な購買力が上がったこと。

「貯金していれば安心」は、性格ではなく、歴史と環境が刷り込んだ学習結果なのです。

問題は、その学習の前提だった環境が、もう存在しないことです。

数字で見る──あなたの貯金は「守れて」いない

2020年代に入り、日本の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年比2〜3%台の上昇を続けています。一方、メガバンクの普通預金金利は0.1〜0.2%程度。この差が何を意味するか、数字で確認します。

参考:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」/https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nen/index-z.html

鍵になるのは、「名目」と「実質」の違いです。銀行に預けた100万円は、1年後も通帳の上では100万円のまま(預金金利を考慮しない単純計算です)。これが名目価値。けれど、その間に物価が3%上がっていれば、同じ100万円で買えるモノは97万円分に減っている。これが実質価値です。

単年では誤差に見えます。しかし、目減りは複利で進みます。

【100万円の現金の実質価値はどうなるか】

  • 年2%のインフレが続いた場合:10年後 約82万円/20年後 約67万円/30年後 約55万円
  • 年3%のインフレが続いた場合:10年後 約74万円/20年後 約55万円/30年後 約41万円

※預金金利を考慮しない単純計算。普通預金金利を加えても誤差は小さい。

年3%が30年続けば、「老後のために貯めた1,000万円」の実質価値は400万円ほどになる計算です。

金融の世界ではこの状態を「実質金利マイナス」と呼びます。名目金利0.2%からインフレ率3%を引けば、実質金利は▲2.8%。通帳の数字は増えているのに、買える量は毎年減っていく──これが現代の「貯金」の姿です。

インフレとデフレでお金の価値がなぜ動くのか、その仕組みそのものは、基礎から別の記事で解説しています。

数字でわかっても、人は貯金を手放せない

ここまでの数字を見ても、多くの人は動きません。それには心理的な理由があります。

ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンらのプロスペクト理論によれば、人間は1万円を得た喜びより、1万円を失った痛みを約2〜2.5倍強く感じます。だから「元本割れするかもしれない」投資の恐怖は、リターンへの期待を圧倒する。そして「絶対に減らない(と信じている)」預金にしがみつく。

参考:Kahneman, D. & Tversky, A. (1979). “Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk” Econometrica/https://www.jstor.org/stable/1914185

皮肉なのは、現金もインフレで確実に減っているのに、その損失は通帳に表示されないことです。人間は「目に見える損失」を過剰に恐れ、「目に見えない損失」には鈍感にできている。貯金への安心感は、この認知の穴の上に成り立っています。

もうひとつの理由は、単純に教わっていないことです。学校でお金や投資の判断基準を学んだ日本人はごくわずかで、家庭でもお金の話はタブー視されがちです。「よくわからないものは怖い」という結論は、教育の空白から生まれています。この構造は、別の記事で掘り下げました。

「増やす」の基本──置き場所でお金の働き方は変わる

では、貯金以外にどんな置き場所があるのか。基本だけ、コンパクトに整理します。

資産クラス別のインフレ耐性を並べると、株式・不動産・金は「強い」、固定金利の債券は「弱い」、現金・普通預金は「非常に弱い」となります。

ここで注目してほしいのは、その分かれ目です。インフレに強い資産はすべて、実体経済の生産活動と結びついている

企業は値上げで売上を維持できる。不動産の家賃は物価に連動する。一方、現金はただの数字であり、生産と結びついていない。だから構造的にインフレへ弱いのです。この視点は、後半の話につながるので覚えておいてください。

具体的な手段として多くの専門家が初心者に勧めるのは、全世界株式や米国株式のインデックスファンドへの長期積立投資です。米国S&P500の長期実質リターンは年率約6〜7%とされ、20〜30年のスパンではインフレを大きく上回ってきた歴史があります。日本にはNISA(運用益が非課税)やiDeCo(掛金が全額所得控除)という制度的な優遇もあり、月数千円から自動積立で始められます。

参考:Siegel, J. (2014). “Stocks for the Long Run, 5th Edition” McGraw-Hill/https://www.mhprofessional.com/9780071800518-usa-stocks-for-the-long-run-5-e

ただし、順序があります。先に生活防衛資金──生活費の6か月〜1年分の現金──を確保すること。これがないまま投資に回すと、相場が下がったときに生活費のために売却を強いられ、長期で持てるはずの資産を最悪のタイミングで手放すことになります。

貯金が悪いのではありません。「貯金だけ」が危ういのです。

投資で900万円を失った私が、それでも「貯金だけ」に戻らない理由

ここからは、教科書には書いていない話をします。

私は2020年7月、投資で900万円を一度に失いました。お金にお金を稼がせる世界の怖さは、骨身に沁みて知っています。この経験の詳細と、そこから得た「自己投資こそ最強」という結論は、別の記事に書きました。

普通なら、これで「やっぱり貯金が一番だ」となるはずです。でも、私はそうなりませんでした。理由は感情論ではありません。

900万円の損失は「私の判断ミス」が生んだ回避可能な損失で、インフレによる目減りは「持っているだけ」で進む回避不能な損失だからです。

前者は学習で減らせます。リスクを取りすぎない、感情で数字を見ない、長期・分散・積立の原則を守る。しかし後者は、現金のまま置いておく限り、どんな学習をしても止まりません。

失敗から学ぶべきは「投資をやめること」ではなく、「二度と同じ張り方をしないこと」でした。

実際、いまの私は事業の傍らでFXにも取り組んでいますが、あの頃とはリスクの管理がまったく違います。怖さを知った上で付き合うのと、怖いから目をつぶるのとでは、10年後に立っている場所が変わります。

第三の柱──最もインフレに強い資産は「稼ぐ力」

そして、これが本記事でいちばんお伝えしたいことです。世の中のインフレ対策の議論は、「守る(貯金)」と「増やす(投資)」の二択で語られがちですが、柱はもう一本あります。

「生み出す(稼ぐ力)」です。

先ほど、インフレに強い資産はすべて「生産活動と結びついている」と書きました。この理屈を突き詰めると、こう気づくはずです。

最もインフレに強い資産は、価値を生産する側に立った自分自身である、と。

物価が上がる世界は、裏を返せば「価値を提供する側は価格を上げられる」世界です。給料だけ、貯金だけの人は値上げの波を受け取る一方ですが、自分で価値を作って売る力があれば、波の上に乗る側に回れる。

私は以前から「節約の能力には限界があるが、収益を生み出す能力は青天井」と繰り返し発信してきましたが、インフレ時代には、この差がさらに開いていきます。

しかも稼ぐ力は、相場と違って暴落しません。900万円を失ったとき、私がそこまで動じずにいられた本当の理由は、残高ではなく「また稼げばいい」という確信のほうにありました。

お金の安心の拠り所を残高から稼ぐ力へ移すという話は、別の記事で詳しく書いています。

大げさな起業の話ではありません。月数万円でも、給料の外で自分の力で生み出せるものを持つ。私自身が現在進行形で取り組んでいるGoogleリスティングアフィリエイトは、その選択肢のひとつです。初心者向けに解説した『Googleリスティングアフィリエイト大全』を無料公開しています。

おわりに──三段構えで、お金の置き場所を自分で決める

まとめます。私がたどり着いた資産設計は、この三段構えです。

【インフレ時代の三段構え】

  • 守る:生活費の6か月〜1年分を生活防衛資金として現金で確保する。貯金の役割はここまで。
  • 増やす:余裕資金はNISAなどを使い、インデックスファンドへ長期・分散・積立。設定したら相場を見ない。
  • 生み出す:給料の外に、自分の力で価値を生み出す収入源を育てる。最強のインフレ対策はこれ。

「とりあえず貯金」は、考えなくて済む代わりに、静かに削られる選択です。大切なのは、不安に煽られて投資に飛びつくことでも、思考停止して通帳を眺めることでもなく、仕組みを理解した上で、お金の置き場所を自分の判断で決めること。

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動かないお金は、守られているのではなく、置き去りにされている。その事実に気づいた日が、資産設計の始まりです。

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Studio Rough Style(SRS)代表。 当サイト管理人&編集長。 1976年生まれ、熊本県出身、東京都在住。 元プロボクサーで、選手引退後に、派遣・アルバイトなど30社以上の現場を渡り歩くフリーター生活を経験後、セカンドキャリとしてネット起業の世界へ。 詳細は下記にて。 [clink url="https://studio-rough-style.net/self-introduction/"]

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