サラリーマンが知っておくべき税金の基本|手取りを守る5つの知識

いろいろと工夫して節税に心がけているイメージ
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サラリーマンの税金は、給与から自動的に引かれます。会社が源泉徴収と年末調整を代わりにやってくれるため、ほとんどの会社員は自分で税額を計算したことがありません。便利な仕組みですが、裏を返せば「知らなくても困らない」がゆえに、知らないだけで損をしやすい立場でもあります。

先に結論をお伝えします。会社員でも、医療費控除やふるさと納税、iDeCoなど、自分から動けば手取りを守れる制度がいくつもあります。けれど、源泉徴収で納税が「完了」してしまうため、その存在に気づかないまま毎年を過ごしている人が少なくありません。

この記事では、サラリーマンの給与から何が引かれているのかという全体像を整理したうえで、会社員でも使える節税・控除の制度、そして令和7年度(2025年)の税制改正で会社員に関係する変更点までを、わかりやすくお伝えします。なお税制は毎年変わり、個別の判断は条件によって異なるため、最終的な手続きは国税庁の最新情報や税理士などの専門家に確認することを前提にお読みください。

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結論:給与から引かれているのは「税金2つ+社会保険料」

まず、いちばん多くの人が知りたい「給与明細で何が引かれているのか」から押さえます。会社員の手取りを減らしているのは、税金が2種類と、社会保険料です。所得税だけではありません。

【サラリーマンの給与から引かれる主なもの】

  • 所得税(国の税金)──その年の所得に対してかかる。給与から概算で天引き(源泉徴収)される。
  • 住民税(自治体の税金)──前年の所得をもとに計算され、翌年6月から天引きされる。
  • 社会保険料──健康保険・厚生年金・雇用保険など。40歳以上は介護保険も加わる。

意外に思われるかもしれませんが、多くの会社員にとって手取りを最も大きく削っているのは、所得税ではなく社会保険料です。社会保険料の本人負担は、給与のおおむね15%前後にのぼります。厚生年金が給与の18.3%(会社と折半して本人は9.15%)、健康保険が地域により約10%(折半して本人は約5%)、雇用保険が本人0.55%(一般の事業・2025年度)。40歳以上はここに介護保険が上乗せされます。

参考:全国健康保険協会「令和7年度の保険料率」/https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/rate_prefectures/r07/index.html /日本年金機構「厚生年金保険の保険料」/https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/hokenryogaku/20150402.html

一方の所得税は、収入そのものではなく、給与所得控除や各種控除を差し引いた「課税所得」にかかります。年収500万円の人に500万円分の税率がかかるわけではありません。その所得税の計算構造(累進課税)は、こちらの記事で詳しく整理しています。

つまり、手取りを考えるときは「所得税」だけを見ても全体は見えません。税金2つと社会保険料をひとまとめの“給与から引かれるもの”として捉えることが、サラリーマンの税金理解の出発点です。

なぜサラリーマンは税金に無関心になるのか

結論から言えば、会社員が税金に無関心になるのは、本人の意識の問題ではなく「自分で納税する経験をしない仕組み」にあります。これを理解すると、なぜ取りこぼしが起きるのかが見えてきます。

会社員の所得税は、毎月の給与から会社が概算で天引きします。これが源泉徴収です。そして年末に、1年間の正確な所得と控除を反映して精算するのが年末調整です。会社が一人ひとりの代わりに、簡易的な確定申告をしてくれているようなものです。

参考:国税庁「No.1000 所得税のしくみ」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1000.htm

この仕組みは非常に便利です。しかし便利さの代償として、会社員は「自分が何にいくら払っているか」を考えるきっかけを持てません。自営業者なら、確定申告のたびに売上・経費・税額と向き合わざるを得ない。けれど会社員は、給与明細の控除欄を見なくても生活が回ってしまう。

その結果、何が起きるか。年末調整では完結しない制度を、自分から申告しないまま取りこぼすのです。医療費控除、ふるさと納税(確定申告する場合)、初年度の住宅ローン控除などは、会社が勝手にやってはくれません。知らなければ、本来戻ってくるはずのお金が戻ってこない。これは、社会の仕組みを知らないことで静かに損をする典型例です。

住民税の「翌年払い」という落とし穴

サラリーマンが見落としがちなのが、住民税は前年の所得に対して、翌年に課税されるという点です。この時間差が、転職・退職・収入減のときに思わぬ負担となって表れます。

住民税は、所得に応じてかかる「所得割」が一律10%(道府県民税4%+市町村民税6%)と、定額の「均等割」(年5,000円程度。森林環境税を含む)で構成されます。会社員の場合は、前年所得をもとに計算された額が、その年の6月から翌年5月にかけて毎月の給与から天引きされます(特別徴収)。

参考:総務省「個人住民税」/https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html

問題は、この「後払い」の構造です。たとえば収入の高かった年の翌年に、退職したり収入が大きく下がったりしても、住民税は前年の高い所得をもとに請求されます。収入が減っているのに、税負担だけが前年水準で残る。退職して無職になった人が、退職後に届く住民税の納付書に驚く、というのはよくある話です。

だからこそ、転職や独立、早期退職を考えるなら、「辞めた翌年に前年分の住民税がまとめて来る」ことを織り込んでおく必要があります。手取りを設計するうえで、この時間差は地味ですが重要な知識です。

サラリーマンでも手取りを守れる「使える制度」5つ

ここからが本題です。会社員は「取られっぱなし」になりがちですが、自分から動けば手取りを守れる制度があります。代表的な5つを、使い方とあわせて整理します。いずれも年によって条件や上限が変わるため、利用前に国税庁や各自治体の最新情報を確認してください。

①医療費控除──年10万円を超えた医療費は申告で取り戻す

1年間(1月〜12月)に支払った医療費が、原則10万円(所得が一定以下の場合は所得の5%)を超えた場合、超えた分を所得控除できます。これは年末調整では処理されず、自分で確定申告する必要があります

対象は本人だけでなく、生計を一にする家族の医療費も合算できます。通院の交通費や、市販薬の一部(セルフメディケーション税制)も対象になりえます。出産や入院があった年は、家族分を合算すると意外と10万円を超えるものです。領収書やレシートは1年間まとめて保管しておきましょう。

参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

②ふるさと納税──実質負担2,000円で税負担を前払いに変える

ふるさと納税は、自治体への寄附を通じて、所得税と住民税の負担を軽減できる制度です。原則として、自己負担2,000円を除いた寄附額が、所得税の還付と住民税の控除という形で戻ってきます(控除上限は年収・家族構成で決まります)。返礼品を受け取れる点も特徴です。

会社員にとって便利なのが「ワンストップ特例」です。寄附先が年間5自治体以内で、もともと確定申告が不要な給与所得者であれば、各自治体に申請書を送るだけで、確定申告なしに控除が受けられます。ただし6自治体以上に寄附した場合や、医療費控除などで確定申告する場合は、ふるさと納税分も確定申告に含める必要があります。

参考:総務省「ふるさと納税ポータルサイト(税金の控除について)」/https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

③iDeCo(個人型確定拠出年金)──掛金が全額所得控除になる

老後資金を自分で積み立てるiDeCoは、掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除されます。つまり、積み立てながら毎年の所得税・住民税を減らせる仕組みです。会社員の掛金上限は勤務先の年金制度によって異なります。

運用益が非課税になる点も含め、税制上の優遇が大きい制度です。ただし原則60歳まで引き出せないため、当面使う予定のないお金で始めるのが前提です。貯金だけではインフレに資産が目減りしうる時代に、税優遇を受けながら長期で備える選択肢として知っておく価値があります。

参考:国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm

④生命保険料控除・地震保険料控除──年末調整で出し忘れない

民間の生命保険・医療保険・個人年金保険や、地震保険の保険料は、一定額まで所得控除の対象です。これらは年末調整で処理できるため、秋に保険会社から届く「控除証明書」を会社に提出するだけで済みます。難しい手続きはありません。

注意点は、証明書の提出を忘れると控除が受けられないことです。毎年なんとなく保険料を払っているなら、まず証明書を出し忘れていないかを確認しましょう。なお、保険は「入っているだけで安心」と感じやすく、控除があるからと過剰に加入してしまう人もいます。控除はあくまで結果であり、保険の要不要は別問題として見極める必要があります。

⑤扶養控除・配偶者控除──家族の状況を正しく申告する

配偶者や子ども、親などを扶養している場合、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除によって課税所得を減らせます。これらは年末調整で申告するものですが、家族の収入状況が変わったときに申告を更新し忘れると、受けられるはずの控除を逃します。

後述するように、令和7年度の改正で扶養の判定に関わる年収のラインが引き上げられました。共働きや、子どもがアルバイトを始めた家庭では、判定基準が変わっている可能性があるため、最新のルールを確認することが大切です。

令和7年度(2025年)の税制改正で会社員に関係する変更点

2025年は、サラリーマンの税金に直接関わる改正が行われました。結論として、物価上昇に対応するために、税金がかからない範囲(控除)が広がったのが大きなポイントです。年末調整や手取りに影響するため、要点を押さえておきましょう。

【令和7年度改正の主な変更点(会社員に関係するもの)】

  • 基礎控除の引き上げ──原則48万円→58万円。さらに所得が一定以下の人には特例の上乗せ(合計所得132万円以下なら最大95万円)。
  • 給与所得控除の最低保障額の引き上げ──55万円→65万円。
  • 「103万円の壁」の見直し──所得税がかからない年収の下限が、最大160万円まで引き上げ。
  • 扶養・配偶者の所得要件の引き上げ──対象となる年収上限が103万円→123万円に。
  • 特定親族特別控除の新設──19歳以上23歳未満の子などを対象とした新たな控除。

基礎控除と給与所得控除が引き上げられたことで、同じ年収でも課税される所得が小さくなり、税負担がわずかに軽くなる方向です。これらは原則として令和7年分以後の所得税に適用され、令和7年12月の年末調整から反映されます。

参考:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」/https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm

また、老後の資産形成を後押しする観点から、iDeCoなどの確定拠出年金の拠出限度額の引き上げも盛り込まれました。扶養の範囲で働く家族がいる家庭や、これからiDeCoを始めたい会社員にとっては、確認しておきたい改正です。

参考:財務省「令和7年度税制改正の大綱の概要」/https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/07taikou_gaiyou.htm

副業をしている会社員は、これらに加えて「副業所得20万円以下なら所得税の確定申告は不要」という特例も知っておく必要があります。ただしこれは所得税の特例であり、住民税には20万円ルールがない点が誤解されやすいところです。詳しくは別の記事で整理しています。

私がフリーター時代に「取りこぼしていた」税金の話

ここで、私自身の話を少しさせてください。きれいな成功談ではなく、知らなかったために損をしていたという反省の話です。

私はプロボクサーを引退したあと、いわゆるフリーター時代を経験しています。30社以上の会社で給与を受け取ってきました。けれど正直に告白すると、当時の私は給与明細の控除欄を、まともに見たことが一度もありませんでした。何が引かれているのか、なぜその金額なのか、考えたこともなかった。「手取りはこんなものか」と受け取って終わりだったのです。

医療費が10万円を超えた年も、確定申告すれば取り戻せると知らなかった。ふるさと納税も、iDeCoも、存在すら意識していなかった。会社が年末調整をしてくれるから、それで税金は「終わったもの」だと思い込んでいたのです。源泉徴収という仕組みは、それくらい人を税金から遠ざけます。

その感覚が一変したのは、自分でビジネスを始めて確定申告と向き合うようになってからです。売上があり、経費があり、所得があり、そこに税金がかかる。自分で計算して初めて、会社員時代の自分が、使えたはずの制度をいくつも取りこぼしていたことに気づきました。知らなかっただけで、静かに損をしていた。

だから私は、会社員の方にこそ伝えたいのです。税金は「取られるもの」と諦める前に、まず仕組みを知るだけで、守れる手取りがある。雇われる働き方であっても、お金の流れを自分で把握する姿勢は、人生の主導権を取り戻す第一歩になります。給与に依存しない収入の柱を持つかどうかという話とも、根は同じです。

こうした「常識をうのみにせず、自分で仕組みを確かめて生きる」という姿勢については、著書(Amazon kindle ランキング 5冠を達成した電子書籍)『あ、常識とかいいんで、とりあえず自由ください。』にも綴っています。下記より無料でお読みいただけます。

まとめ──知るだけで、守れる手取りがある

サラリーマンの税金について、本記事の要点を整理します。

【この記事のまとめ】

  • 給与から引かれるのは所得税・住民税・社会保険料。手取りを最も削るのは社会保険料(本人負担は給与の約15%前後)。
  • 会社員は源泉徴収・年末調整で納税が「完了」するため、自分で申告すべき控除を取りこぼしやすい
  • 住民税は前年所得に対する翌年課税。退職・転職時の負担に注意。
  • 会社員でも使える制度=①医療費控除 ②ふるさと納税 ③iDeCo ④生命保険料控除 ⑤扶養・配偶者控除
  • 令和7年度改正で基礎控除・給与所得控除が引き上げ、税負担はやや軽くなる方向。

税金の知識は、派手ではありません。けれど、知っているかどうかで戻ってくるお金が変わる、確実なリテラシーです。源泉徴収に任せきりにせず、年に一度、自分の給与明細と源泉徴収票を見直す習慣を持つだけでも、見える景色は変わります。

なお、本記事は一般的な仕組みの解説であり、個別の税額や控除の可否は条件によって異なります。具体的な手続きや節税の判断は、必ず国税庁の最新情報を確認するか、税理士などの専門家に相談してください。お金の不安の多くは「仕組みが見えない怖さ」から生まれます。まず知ることが、その不安を小さくする一歩です。

自由な働き方や暮らしを実践している方々のインタビューも、お金との付き合い方を考えるヒントになるはずです。

リライフ特集

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Studio Rough Style(SRS)代表。 当サイト管理人&編集長。 1976年生まれ、熊本県出身、東京都在住。 元プロボクサーで、選手引退後に、派遣・アルバイトなど30社以上の現場を渡り歩くフリーター生活を経験後、セカンドキャリとしてネット起業の世界へ。 詳細は下記にて。 [clink url="https://studio-rough-style.net/self-introduction/"]

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