時間とお金、どちらが大事か|親との残り時間を計算した日、答えが出た

2026.03.11
自分の人生、時間とお金のどちらを大切にするかを問うイメージ
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時間とお金、どちらが大事か──私はこの問いに、一度の計算で答えが出てしまった人間です。

きっかけは、ひすいこたろうさんの『あした死ぬかもよ?』という本でした。

そこで知った「親と過ごせる残り時間」の計算を、東京に住み、実家が九州にある自分に当てはめてみたのです。

【私の場合:親と過ごせる残り時間】

  • 父は80歳、母は75歳。仮に90歳前後まで長生きしてくれるとして、残りは父が約10年、母が約15年
  • 帰省して顔を合わせるのは、お盆・正月などで年に約6日
  • そのうち親と実際に過ごす時間は、1日あたり約11時間
  • 父:10年 × 6日 × 11時間 = 660時間(約27日)/母:15年 × 6日 × 11時間 = 990時間(約41日)

本の中では、親の残り寿命を20年とした一般例で「約1,320時間、日数にして55日──およそ2ヶ月」と紹介されています。

それでも十分に衝撃的な数字ですが、80歳の父に当てはめた私の答えは、その半分以下でした。90歳まで長生きしてくれるという楽観的な仮定を置いてもなお、父と一緒に過ごせるのは1ヶ月に満たない。

この数字を前にしたとき、「時間とお金、どちらが大事か」という問いは、私の中で抽象論ではなくなりました。

私の口座のお金は、減っても働けばまた増やせます。けれど、この660時間だけは、いくら積んでも1時間も買い足せない。

お金は取り戻せるが、時間は取り戻せない──この非対称こそが、答えの核心です。

ただし、「だから時間が大事」で終わらせるつもりはありません。生活の土台が崩れている人に「お金より時間」と説くのは、現実から目をそらした精神論です。

この記事では、時間とお金の優先順位を、幸福研究の知見と、稼ぐことを追いかけた末に「時間を買う側」へ回った私の実体験から整理します。そのうえで、迷ったときの判断基準までお伝えします。

【この記事の結論】

  • 生活の土台が不安定な段階──まずお金を優先する。家賃、食費、医療、安全を守るため。
  • 生活の土台が整った段階──時間を優先する。自由、健康、人間関係、創造性は時間の使い方で決まるため。
  • 研究でも、時間を重視する人のほうがお金を重視する人より幸福度が高いことが繰り返し示されている。
  • 迷ったときの基準──その選択は「自分で使える時間」を増やすか、減らすか。
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父との残り時間は「1ヶ月弱」──計算した日に、問いが終わった

冒頭の計算に、もう少しだけ付き合ってください。この数字には、続きがあるからです。

年6日という帰省日数は、大げさに少なく見積もった数字ではありません。お盆も正月もゴールデンウィークも、毎回帰れるわけではない。旅行にも行きたいし、結婚していれば相手の実家にも顔を出します。会社員の友人たちに聞いても、「今年は妻の実家、来年は自分の実家」と隔年で帰省している人は珍しくありませんでした。年6日は、むしろ現実的な平均です。

そして、この計算が突きつけてくるのは、残酷な事実です。父との27日も、母との41日も、お金では1日も延長できないのです。年収が2倍になっても、貯金が10倍になっても、親の残り時間は1秒も増えない。

増やす方法はただひとつ、「会いに行く回数と時間を増やすこと」だけ。つまり、必要なのはお金ではなく、自分の時間の主導権

いま、私たち夫婦は東京に住み、お互いの実家は熊本と福岡にありますが、四季に1回はそれぞれの実家に帰省するようにしています。年6日どころか、その数倍の日数です。

これができるのは、私が特別に親孝行だからではありません。時間の主導権を手放さない働き方を、先に作ったからです。この話は、記事後半に続きます。

時間の有限性を本当に理解したとき、人の優先順位がどう変わるのか。その心理学的な仕組みは、別記事で詳しく整理しています。

「時間よりお金」が正解の段階もある──土台の話を先にする

ここで、公平に反対側の話をします。

お金が足りなければ、選択肢は狭まります。家賃、食費、医療、子どもの教育。生活の土台が揺らいでいる段階では、お金を優先するのが正解です。土台が崩れている人に「お金より時間」と言っても、それは現実から目をそらすだけの綺麗事にしかなりません。

実際、私自身も土台のない時期は、なりふり構わずお金を追いかけました。その必死さ自体を、いまも否定する気はありません。

問題は、その先です。

ある程度の土台が整ったあとも、惰性でお金だけを追い続けると、今度は時間のほうが失われていきます。残業を増やす。休日を削る。合わない仕事を我慢して続ける。収入は増えているのに、人生を味わう時間がなくなっていく。

「お金は増えたのに、なぜか満たされない」──この状態の正体が、まさに分岐点の見誤りです。

年収と幸福度の研究でも、一定の水準を超えると幸福度の上昇は鈍化することが知られています。詳しくは別記事で検証しました。

つまり、「時間とお金、どちらが大事か」の答えは一律ではなく、自分がいまどちらの段階にいるかで決まります。そして多くの人が見落としているのは、土台が整ったあとの「切り替え」のタイミングなのです。

研究の答え合わせ──時間を重視する人のほうが幸福だった

「土台の先は時間」という私の実感は、幸福研究の結果とも一致しています。

64%が「お金」と答えた。幸福だったのは残りの36%だった

約4,400人を対象にしたアメリカの研究では、「時間とお金、どちらが大事か」という問いに、64%の人が「お金」と回答しました。ところが、実際に幸福度を測定すると、「時間」と答えた人のほうが一貫して幸福度が高かったのです。

参考:Hershfield, H. E., Mogilner, C. & Barnea, U. (2016). “People Who Choose Time Over Money Are Happier” Social Psychological and Personality Science/https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1948550615623842

注目すべきは、この傾向が収入の多寡だけでは説明できなかった点です。幸福度を左右していたのは、持っているお金の量そのものではなく、時間とお金のどちらに価値を置いて日々を選んでいるかという構えでした。

卒業後の人生まで追いかけた調査でも、結果は同じだった

カナダの大学の卒業生約1,000人を追跡した研究では、卒業時に「お金より時間を大切にする」と答えた学生は、卒業から1〜2年後の人生満足度が高いことが示されました。時間を重視する学生は、やりがいを基準に進路を選ぶ傾向があり、その選択が後の幸福につながっていたのです。

参考:Whillans, A. V., Macchia, L. & Dunn, E. W. (2019). “Valuing time over money predicts happiness after a major academic transition” Science Advances/https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.aax2615

さらに、時間の「買い方」に関する実験もあります。2017年にPNAS(米国科学アカデミー紀要)に掲載された研究では、家事代行など時間を節約する支出をした人は生活満足度が高く、同じ金額を「モノ」に使った場合より、「時間を買うこと」に使った週末のほうが幸福感が高まりました。

参考:Whillans, A. V., Dunn, E. W. et al. (2017). “Buying time promotes happiness” PNAS/https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1706541114

まとめると、こうなります。多数派は「お金」と答える。けれど幸福なのは「時間」と答えた側であり、しかもお金は「時間を買う」ために使ったとき、最も幸福に効く。お金の価値は、時間に変換されたときに最大化する──研究が指し示す方向は、はっきりしています。

お金と時間の、3つの決定的な違い

なぜ、時間のほうが重いのか。理屈を3つに整理しておきます。

【お金と時間の根本的な違い】

  • お金は失っても取り戻せる/時間は失ったら二度と戻らない
  • お金は行動次第で増やせる/時間は誰にとっても1日24時間、増やせない
  • お金は他人に渡せる・借りられる/時間は自分しか使えず、誰からも借りられない

私はビジネスの失敗で、まとまったお金を失った経験があります。痛かったですが、致命傷ではありませんでした。スキルと経験が残っていれば、お金は再び作れるからです。

けれど、「あのとき、もっと大切な人のために時間を使っていれば」という後悔だけは、どれだけ稼いでも精算できません。冒頭の660時間が教えてくれるのは、この非対称です。

お金の失敗は人生の途中経過にできるが、時間の失敗は取り返しがつかない

だから、迷ったら時間を守る側に倒す──これが私の原則になりました。

私は「未来の時間」を買うために、お金を使うことにした

ここからは、私自身の切り替えの話です。

ネット起業の当初、私の目的は大きな収入でした。実力次第で収入は青天井。それがこの世界の魅力だと信じていましたし、実際にある程度の収入も得られるようになりました。

けれど、あるときから、稼ぐことばかりを意識していた日々より、自分の時間や価値観を優先するようになってからのほうが、圧倒的に毎日が楽しいと気づいてしまったのです。

収入は「不自由なく生きていける分」があればいい。妻と二人で穏やかに暮らせる分があれば、それでいい。そう決めてから、ビジネスの判断基準そのものが変わりました。

【私のビジネスの判断基準】

  • どれだけ稼げるかより、どれだけ自動化できるか
  • どれだけ大きく育つかより、どれだけ自分の時間を守れるか
  • どれだけ大金を得られるビジネスでも、自動化できなければ1ミリも魅力的ではない

自動化とは、要するに「未来の時間を先に買っておく」行為です。

もちろん仕組みを作る初期は、相応の労力がかかります。けれど、その投資が実ったあとは、労働時間と収入が切り離されていく。

私が四季ごとに九州へ帰省できるのも、平日の昼間に家族と過ごせるのも、この「時間の買い方」を選んだ結果です。

親との残り時間の計算に戻るなら、こういうことです。

過ぎた時間はお金で買い戻せない。けれど、未来の時間は、お金と仕組みの使い方しだいで買える

時間を「資産に変える」働き方の具体的な考え方は、別記事で整理しています。

稼ぐことそのものより、自分の時間を取り戻すことに軸足を移していった経緯は、著書(Amazon kindle ランキング 5冠を達成した電子書籍)『あ、常識とかいいんで、とりあえず自由ください。』に詳しく綴っています。下記より無料でお読みいただけます。

時間の主導権を取り戻す、4つの実践

では、具体的に何から始めればいいのか。私が実際に通ってきた順番で、4つに絞ります。

① 自分の「本当の時給」を知る

月給を労働時間で割った表面上の時給と、通勤・準備・回復の時間や仕事関連の支出まで含めた「本当の時給」には、大きな開きがあります。まず自分が1時間をいくらで売っているのかを正確に知ると、時間とお金の交換レートに自覚的になれます。計算方法は別記事にまとめました。

② 「十分な収入」を先に定義する

「もっと稼ぎたい」に終わりはありません。だからこそ、自分にとって十分な収入はいくらかを先に決める。ゴールが決まれば、それ以上の時間を稼ぐことに投じる理由が消え、その分が自分の時間に変わります。

私の場合、これは金額の問題ではなく「妻と穏やかに暮らせて、四季ごとに親に会いに行ける状態」という生活の形で定義しています。

③ 時間と切り離された収入の柱を、小さく持つ

労働時間と収入が直結しない仕組みを、ひとつでも持つこと。ブログ、アフィリエイト、デジタルコンテンツ──「自分がその場にいなくても価値を届けられる」モデルなら、形は何でも構いません。

雇われる収入だけに依存する限界と、自分で稼ぐ選択肢については、別記事でお伝えしています。

④ お金で「時間を買う」支出を増やす

家事代行、時短家電、移動の削減、ルーティン作業の自動化。先ほどのPNASの研究が示したとおり、同じ金額なら、モノより時間を買うほうが幸福に効きます。これは贅沢ではなく、人生の優先順位を「時間」に置いた人の、合理的な支出です。

迷ったときは、この5つを自分に問いかけてみてください。

【時間とお金の判断基準・5つの問い】

  • この支出は、自分で使える時間を増やしてくれるか?
  • この仕事は、収入だけでなく未来の自由にもつながっているか?
  • その節約で浮く金額より、失う時間のほうが大きくないか?
  • もっと稼ぐために、健康・家族・創造性を削っていないか?
  • 自分にとって「十分な収入」は、いくらなのか?

おわりに──お金は手段、時間は人生そのもの

最後に、誤解のないように言っておきます。

私がお金より時間を大切にするのは、お金が不要だからではありません。お金は手段であり、目的ではないと気づいたからです。

手段としてのお金には、買えるものと買えないものがあります。時間節約のサービスや選択肢は買える。けれど、信頼や愛情、そして過ぎ去った時間そのものは買えない。この境界線については、別記事で整理しました。

時間とお金、どちらが大事か。生活の土台までは、お金。その先は、時間。そして迷ったら、「自分で使える時間を増やすほう」を選ぶ。

私にこの答えをくれたのは、難しい理論ではなく、親との残り時間という一度の計算でした。父と660時間、母と990時間──そして、あなたがいま大切な人と過ごせる残り時間も、この瞬間に減り続けています。その事実は重いけれど、絶望ではありません。

残り時間に気づいた人から、時間の使い方を選び直せるのですから。

当サイトのインタビューでは、収入の大きさではなく「自分の時間をどう生きるか」を基準に働き方を組み替えた方々の実例を紹介しています。時間を優先する人生が絵空事ではないことの、何よりの証拠になるはずです。

この記事が、あなたの時間の使い方を見つめ直すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

リライフ特集

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Studio Rough Style(SRS)代表。 当サイト管理人&編集長。 1976年生まれ、熊本県出身、東京都在住。 元プロボクサーで、選手引退後に、派遣・アルバイトなど30社以上の現場を渡り歩くフリーター生活を経験後、セカンドキャリとしてネット起業の世界へ。 詳細は下記にて。 [clink url="https://studio-rough-style.net/self-introduction/"]

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