「メルマガはオワコン」という言葉に反論する前に、ひとつ告白があります。
私は人生でいちばん重い打ち明け話を、ブログでもSNSでもなく、メルマガでしました。自分の離婚の話です。
なぜ、誰でも読める場所ではなく、受信箱を選んだのか。そして、そこで何が返ってきたのか──この体験が、メールマーケティングというものの正体を、どんな統計よりも正確に教えてくれました。
私はネット起業の世界に入ってから長い期間、読者へ毎日メルマガを書き続け、そこからビジネスを立ち上げてきました。
いまの主戦場はGoogle広告を使ったリスティングアフィリエイトですが、広告とメールの両方を知る立場から言えることがあります。
死んだのは「メールという手段」ではなく、「読者を数字としか見ない扱い方」のほうです。
この記事では、その実体験と最新データの両方から、「メルマガはオワコン」説の真偽に白黒をつけていきます。
【この記事の結論】
- 「メルマガはオワコン」は半分正しく、半分間違い──死んだのは売り込み一辺倒の配信であり、チャネルとしてのメールは依然として最強。
- メールのROIは1ドルあたり36〜42ドル。検索広告・SNS広告を桁違いに上回る。
- 世界では有料ニュースレターの購読が急増中。「オワコン」どころか回帰が起きている。
- 強さの源は「受信箱」という場所の構造──許可・直通・持ち運べる資産。
- 生き残るメルマガの分かれ目は「価値が先か、売り込みが先か」。

無料で学んでみませんか?
【無料参加特典】
ビジネス自動化講座(定価169,800円)
私は人生でいちばん重い告白を、メルマガでした
2014年11月、私は離婚しました。
フリーターとしてトリプルワークとネットビジネスに明け暮れ、家庭に残すべき時間まで注ぎ込んだ末の、人生最大の失敗です。
しばらく経って、私はこの出来事を発信の場で打ち明けることにしました。
選んだ場所が、毎日書き続けていたメルマガです。書き出しは、いまでも覚えています。「今回は、あなた限定の特別なお話です」──誰でも読めるブログではなく、毎日の配信を受け取り続けてくれた読者だけに宛てて、結婚から離婚までの経緯を赤裸々に綴りました。
書けた理由は、ひとつしかありません。
毎日のやり取りの積み重ねで、「この人たちになら話せる」という信頼が、書き手の私の側にも育っていたからです。
そして、返ってきたものに驚きました。批判でも、野次馬的な好奇心でもなく、自分の人生を重ねた長い長い返信の数々だったのです。離婚を経験した読者、家庭とビジネスの間で悩んでいる読者──顔も知らない人たちが、私の告白に自分の物語で応えてくれました。
このとき確信したことが、この記事全体の土台になっています。
メルマガとは「配信」ではなく「文通」である。
SNSのタイムラインが群衆に向けた広場だとすれば、受信箱は一対一の部屋です。広場では絶対に起きない種類のやり取りが、そこでは起きる。
「オワコン」と呼ばれているものの正体を見誤らないために、まずこの前提を置いたうえで、数字の話に進みます。
「メルマガはオワコン」は半分正しい──死んだのは手段ではなく扱い方
先に白黒をつけておくと、「メルマガはオワコン」という言葉は半分正しく、半分間違いです。
正しいのは、「ある種のメルマガ」が確かに死んだという点です。売り込みばかりの一斉配信、どこかで買ってきたリストへの無差別送信、開封されることのない宣伝メールの山──こうした「読者不在のメルマガ」は、迷惑メールフォルダに沈み、静かに退場していきました。
一方で、「メールというチャネル自体が終わった」という認識は、数字が明確に否定します。
【データが示すメールマーケティングの現在地】
- ROIは1ドルあたり36〜42ドル──検索広告(約2ドル)、SNS広告(約2.8ドル)、ディスプレイ広告(約1.35ドル)を桁違いに上回る。
- 世界のメール利用者は約45億人──世界人口の半分以上がメールアドレスを持つ。
- 消費者の77%が、企業からの連絡手段としてメールを最も好むと回答。
- 59%が「メールが購買の意思決定に影響した」と回答。
参考:VoxBooster “Email Marketing Statistics 2026”(DMA・Litmus等の調査を集計)/https://voxbooster.com/blog/email-marketing-statistics-2026/、Digital Applied “Email Marketing Statistics 2026: 200+ Essential Data”/https://www.digitalapplied.com/blog/email-marketing-statistics-2026-data-points
広告を毎日運用している立場から補足すると、この差は誇張ではなく、構造的に当然の結果です。
広告は「興味があるかもしれない人」に届けるものですが、メルマガは「受け取りたい」と自分から手を挙げた人にだけ届くからです。母集団の質が最初から違います。
なお、ROI(投資利益率)をそもそもどのくらいの目安で見ればよいか、どう測定すればよいかは、別の記事で「自社の損益分岐から目安を出す方法」として整理しています。
なぜ「オワコン」と言われるのか──3つの誤解
これほど強いチャネルが「オワコン」と呼ばれる背景には、3つの誤解があります。
誤解①「どうせ開封されない」──低いのはメールではなく、中身の温度
「メルマガなんて誰も開かない」という印象は、売り込みだけの宣伝メールが大量にばらまかれた時代の残像です。読者が「受け取りたい」と登録したメルマガは、いまでもしっかり読まれています。
考えてみれば当然で、メルマガの読者はわざわざ自分のメールアドレスを差し出して「あなたの情報を受け取りたい」と意思表示した人です。通りすがりに眺めるSNSの投稿とは、読み手の温度がそもそも違います。
開封されないのは手段の限界ではなく、その温度に応える中身を届けられていないだけです。
誤解②「SNSやLINEに取って代わられた」──受け持つ役割が違う
SNSは、新しい人と「出会う」場所です。拡散力と即時性では、メールはSNSにかないません。しかし、出会った人と関係を深め、信頼を積み上げる段階になると、立場は逆転します。
SNSの投稿は、フォロワー全員には届きません。何をどの順番で見せるかは、アルゴリズム(プラットフォームの表示ルール)が決めるからです。
一方メールは、原則として登録者全員の受信箱に直接届きます。「出会いのSNS、深めるメール」──取って代わる関係ではなく、分業なのです。
その「出会いの場」としてのSNSを最大限に活かす手段が、YouTubeやTikTokを使った動画マーケティングです。台頭の背景と実践の手順は、別の記事で解説しています。
誤解③「迷惑メールの温床」──規制強化でむしろ健全になった
2024年以降、GmailやYahoo!メールが送信者へのガイドラインを大幅に厳格化し、認証されていない送信者や迷惑メール報告の多い配信は、受信箱に届きにくくなりました。買ってきたリストへの無差別送信のような手法は、技術的に淘汰されつつあります。
参考:Google「メール送信者のガイドライン」/https://support.google.com/a/answer/81126
その結果、残ったメルマガの質が上がり、読者の信頼が戻ってきています。
2025年に実施された国内調査では、企業アカウントやWeb媒体の中で「最も信頼できるメディア」の1位にメールマガジンが選ばれました。規制の荒波を超えたことで、メールは信頼されるメディアとして再評価されているのです。
参考:SILVER EGG TECHNOLOGY「メールが『再評価』される背景と購買率を向上させる4つの活用ポイント」/https://www.silveregg.co.jp/archives/blog/2026-Mail-Conversion-Ymir-webinar
受信箱が持つ、3つの構造的な強み
誤解を解いたところで、本題です。
メールマーケティングの強さは流行や運ではなく「構造」に根ざしています。だからこそ、SNSの勢力図が何度入れ替わっても揺るがないのです。
強み①「受信箱」は、招かれた人しか入れない場所
メールマーケティングの本質は、許可(パーミッション)の上に成り立っていることです。
受信箱は、現代人にとって最もプライベートなデジタル空間のひとつです。そこに入れるのは、読者自身が「入っていいですよ」と許可した相手だけ。この「招かれている」という前提が、広告とは比較にならない聞く耳を生みます。
街頭で配られるチラシと、自宅のポストに届く友人からの手紙。同じ紙でも、読まれ方はまったく違います。
私が離婚の告白をメルマガでできたのも、突き詰めればこの構造のおかげでした。あの文章は、広場に貼り出すものではなく、招かれた部屋で話すものだったからです。
強み②アルゴリズムを介さず「直接」届く
SNSの投稿がフォロワーに届くかどうかは、プラットフォームの判断次第です。アルゴリズムが変われば、昨日まで届いていた相手に今日は届かない、ということが普通に起こります。
メールには、この「間に入る審判」が存在しません。送れば、登録者の受信箱に直接届く。読者との間に誰も挟まらない「直通」のチャネルは、デジタルの世界では実は希少です。
しかもメールは特定の企業の持ち物ではなく、誰のものでもない共通の仕組み(プロトコル)なので、どこかの会社の方針転換で消えることもありません。SNSが「借地」であることのリスクと、発信基盤を自分で持つ意味については、別の記事で詳しく整理しています。
強み③リスト(読者名簿)が「持ち運べる資産」になる
SNSのフォロワーは、そのプラットフォームから持ち出せません。アカウントが凍結されれば、10万フォロワーもゼロになります。一方、メールアドレスのリストは自分の手元に残る資産です。配信ツールを乗り換えても、リストは一緒に連れていけます。
江戸時代の商人は、火事のときに真っ先に顧客台帳を井戸へ投げ込んで守ったといいます。商品や店は失っても、顧客との繋がりさえ残れば商売は再建できる──メールリストは、まさに現代版の顧客台帳です。
私自身、ビジネスモデルを大きく転換した2017年、その中心に据えたのはメルマガでした。商品や手法は何度も変わりましたが、読者との繋がりだけは、そのまま次のビジネスの土台として持ち越せたからです。
2026年、世界は静かにメールへ回帰している
「それでも、これからの時代はどうなのか」と思う方に、最近の動きを紹介します。
実は世界では、オワコンどころかメールへの回帰が起きています。
象徴が、個人が有料ニュースレターを発行できるプラットフォーム「Substack」の急成長です。有料購読数は2023年の200万件から増え続け、2025年3月には500万件を突破。著名なジャーナリストが新聞社やテレビ局を離れ、読者の受信箱に直接届けるニュースレターへ次々と独立しています。
参考:Reuters “Newsletter platform Substack valued at $1.1 billion in latest funding round”(2025年7月17日)/https://www.reuters.com/business/media-telecom/newsletter-platform-substack-valued-11-billion-latest-funding-round-2025-07-17/
背景にあるのは、プラットフォーム依存への疲れと不安です。SNSはアルゴリズムの変更ひとつで露出が消え、検索はAIが答えを要約する時代に入って、サイトへの流入そのものが不安定になりつつあります。
発信者たちは気づき始めました。
読者に確実に届く経路を自分で持っているかどうかが、生死を分けると。
そして行き着いた先が、半世紀近く変わらず動き続けてきたメールだったわけです。
私はこの流れを、少しの感慨とともに眺めています。
「新しいから強い」のではなく、「変わらないから強い」。
SNSの王者は数年ごとに入れ替わりますが、メールアドレスはその間ずっと、あらゆるサービスの登録に使われ続けてきました。流行を追いかけるより、変わらないものの上に積み上げる。マーケティングに限らず、私が人生のあちこちで選んできた方針でもあります。
消えるメルマガ、生き残るメルマガ──これから始める人へ
最後に、これからメールマーケティングを始める人へ、消えるメルマガと生き残るメルマガの分かれ目を、私の実践から整理します。
分かれ目①「価値が先か、売り込みが先か」
消えていくメルマガの共通点はシンプルで、読者を「リストの数字」として扱い、売り込みから始めることです。登録した瞬間からセールスばかり届くメルマガは、解除されるか、開かれなくなります。
逆に、生き残るメルマガは「価値が先」です。
先ほどの国内調査では、役立つ情報を届けるニュースレターを継続したあとに広告を送った場合、同じ内容の告知でも申込者が約4倍に増えたと報告されています。目安としては、役立つ情報8割・告知2割。価値を先に積んだ分だけ、いざというときの一通が効く──信頼とは、そういう貯金のようなものです。
分かれ目②「身内に堂々と見せられるか」
私のメルマガは、家族も友人も読んでいました。それでも、怖いと思ったことは一度もありません。家族に見られて恥ずかしい商品を作らず、恥ずかしい売り方をしてこなかったからです。
「身内に堂々と勧められるか?」──私はこの問いを、発信の基準として常に自分に向けてきました。この基準を守り続けると、小手先のセールス技術など使わなくても、信頼は勝手に積み上がっていきます。
誰に見られてもいい発信が、最後にいちばん遠くまで届く。
文通の相手に嘘をつかない、というだけの話でもあります。
弱点も知っておく──メルマガは「遅い」
公平のために、弱点にも触れておきます。
最大の弱点は立ち上がりの遅さです。
リストはSNSのフォロワーのようにバズで一気に増えることはなく、読者を一人ずつ積み上げるしかありません。書き続ける労力もかかりますし、認証設定を怠れば迷惑メール扱いされるリスクもあります。
即効性が欲しい場面には向きません。しかし見方を変えれば、この「遅さ」こそが参入障壁です。
誰もが近道に流れる中で、時間のかかる王道を歩んだ人だけが、簡単には崩れない資産を手にします。ビジネスで本当に効くものは、たいてい地味で遅いのです。
始め方──「出会いの場所」とセットで設計する
メルマガ単体では、読者と出会えません。検索で見つけてもらうブログ、拡散されるSNS──そうした「出会いの場所」から、メルマガという「深める場所」へ導く全体の流れをセットで設計することが重要です。
読者と出会ってから顧客になってもらうまでの道のり(カスタマージャーニー)の設計は、コンテンツマーケティングの戦略として別の記事で7つのステップに整理しています。
難しく考える必要はありません。読者が10人でも、その10人に宛てた「今日の手紙」を書くことから、メールマーケティングは始まります。私も最初は、数人の読者に向けて書いていました。
宛先はいつも「皆さん」ではなく「あなた」。何千人に送る文章でも、書いている瞬間に思い浮かべるのは、たった一人の顔です。
おわりに──最も古いチャネルが、最後まで残る
メールは、インターネットの中で最も古いコミュニケーション手段のひとつです。「古いからオワコン」なのではありません。あらゆる流行が現れては消えるなかで、半世紀近く使われ続けてきたからこそ、これからも残る──私は確信を持ってそう見ています。
そして、受信箱の価値を測る物差しは、リストの大きさではありません。あの日、私の告白に長い返信をくれた読者たちが教えてくれたとおり、リストの大きさより、文通の深さです。アルゴリズムが何度変わっても、一対一の部屋で交わされた信頼は消えません。
常識や流行に流されず、自分の基準で「変わらない土台」を選び取る生き方については、著書(Amazon kindle ランキング 5冠を達成した電子書籍)『あ、常識とかいいんで、とりあえず自由ください。』に、私の実体験を交えて綴っています。下記より無料でお読みいただけます。
また、メルマガと同じく「仕組みが資産として働き続ける」性質を持つ副業として、私が現在進行形で取り組んでいるGoogleリスティングアフィリエイトがあります。初心者にもわかりやすく解説した『Googleリスティングアフィリエイト大全』を無料公開していますので、収益化の選択肢として参考にしてみてください。
まずは1人の読者への最初の一通から、書き始めてみてください。その一通が積み重なった先に、どんな告白でも受け止めてくれる読者との関係が待っています。

コメント
この記事へのコメントはありません。